犬の体をなでたときに、皮膚から独特のにおいを感じたことはありませんか。
犬の皮膚のにおいは単に汚れだけでなく、皮膚病が関係していることも多いです。
とくに以前よりもにおいが強く、シャンプーをしてもすぐにくさくなる場合は要注意です。
今回は犬の皮膚がにおう原因とおうちでできるケアについて解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の皮膚の健康管理に役立ててみてください。
犬の皮膚のにおいの原因
犬の皮膚のにおいが発生する原因は大きく分けて以下の2つです。
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皮脂の蓄積と酸化
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皮膚常在菌の増殖
それぞれについて解説します。
皮脂の蓄積と酸化
皮脂の酸化は犬の皮膚のにおいの原因のひとつです。
犬の皮膚では皮脂が分泌されていますが、これは皮膚を乾燥や外部刺激から守るためです。
しかし皮脂が増えたり皮膚表面に蓄積したりすると、皮脂が酸化してきます。
酸化した皮脂が放置されていると、次第にツンとするにおいが発生してきます。
このため定期的にシャンプーをすることで皮脂を落とすことが大切ですね。
皮膚常在菌の増殖
皮膚常在菌の増殖は皮膚のにおいの原因のひとつです。
じつは犬の皮膚には細菌やマラセチアといった常在菌が存在しています。
これらの微生物は健康な皮膚では問題にならず、強いにおいを発することもありません。
しかし皮膚が汚れたり、皮膚炎で皮脂が増えたりすると常在菌は過剰に増殖します。
そして過剰に増殖した常在菌は皮脂を分解する過程で独特のにおいを発します。
犬の皮膚がにおう皮膚病
犬の皮膚がにおってくる背景には皮膚病が隠れていることがよくあります。
シャンプーやお世話によって犬をきれいに保っていても、皮膚がにおうときは要注意です。
その原因は皮脂の過剰分泌や常在菌の増殖を起こす皮膚病かもしれません。
以下に犬の皮膚がくさくなる原因となる皮膚病を解説します。
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マラセチア性皮膚炎
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犬アトピー性皮膚炎
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内分泌疾患
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皮膚の化膿
マラセチア性皮膚炎
マラセチア性皮膚炎は犬の皮膚に常在するマラセチアが増殖して起こる皮膚炎です。
マラセチアは皮脂を栄養源とするため、皮脂の分泌が増えると急激に増殖します。
またマラセチアは皮脂を分解する過程で独特のにおいを発します。
このため皮脂自体のにおいとマラセチアの発するにおいが合わさって強いにおいが出ることが多いです。
犬アトピー性皮膚炎
犬アトピー性皮膚炎は環境中のアレルゲンに反応して皮膚炎を起こす皮膚病です。
犬アトピー性皮膚炎の犬では、皮膚常在菌のバランスが悪く、しばしば皮膚炎に伴って菌が増殖します。また、皮膚炎が強いときは皮脂の分泌もより多くなるため、皮膚のにおいも強くなります。
内分泌疾患
内分泌疾患は犬の皮膚のにおいが強くなる原因のひとつです。
甲状腺機能低下症やクッシング症候群などの内分泌疾患では代謝に変化が生じ、皮脂の分泌や皮脂の質が変化します。また、皮膚バリアが弱いと皮膚の常在菌も増えやすく、これもにおいの原因になります。
皮膚の化膿
皮膚の化膿は細菌感染によって、皮膚に膿や浸出液が生じた状態です。
皮膚が化膿すると、腐敗臭のようなとても強いにおいが発生します。
皮膚が細菌感染を起こして化膿する原因として代表的なものは以下です。
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ケガ
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かきむしり
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刺さった異物
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腫瘍
じつは犬は毛が多く皮膚が見えにくいため、皮膚の傷にすぐ気が付かないことも多いです。
このため気が付いたときには皮膚が化膿して、痛々しい状態になっていることもあります。
犬の皮膚のにおいを抑えるためのおうちケア
犬の皮膚のにおいを抑えるためにはおうちでのケアも重要です。
犬の皮膚のにおいに気が付いたときは、まず動物病院に行って相談することが大事です。
そして原因に合わせた治療を行うことが必要ですが、おうちでのケアも並行して行うことで犬の皮膚を健康に保つことができます。
以下に犬の皮膚のにおい対策として有効なおうちケアを解説します。
腸活
腸活は犬の腸内細菌叢を改善し、皮膚炎を起こしにくい体質を作ります。
腸活によって体質改善をすると、犬アトピー性皮膚炎が改善したことも報告されています。
とくに犬アトピー性皮膚炎の犬では皮膚炎によって皮脂の分泌が増えやすいです。
このため腸活をすることで皮脂とにおいの出にくい皮膚に近づけることができます。
腸活についてはこちらも見てみてください。
エリスリトール
エリスリトールは糖アルコールの一種で、皮膚の常在菌を抑える効果があります。
マラセチアなどの皮膚の常在菌は増殖するとにおいの原因になることが多いです。
エリスリトールを用いることで抗生物質に頼らずに常在菌増殖を抑えることができます。
皮膚炎が起きやすいところに1日3回塗布することがおすすめです。
エリスリトールについてはこちらも参考にしてください。
犬の皮膚の健康とエリスリトールの関係|エリスリトールの作用を解説
クレンジング
クレンジングは皮膚のにおいを抑えるために有効です。
クレンジングは皮膚に蓄積した皮脂やフケを効率よく洗浄することができます。
皮脂が多い犬はクレンジング後にシャンプーをすると、皮膚がべたつきにくくなります。
とくにマラセチア性皮膚炎ではクレンジングにより効率的にマラセチアを除菌できることが多いです。
クレンジングについてはこちらも参考にしてください。
犬のマラセチア性皮膚炎にはクレンジングが大切?|マラセチア対策に効果的なクレンジング成分とスキンケアを獣医師が解説!
まとめ
犬の皮膚のにおいは蓄積した皮脂や微生物の増殖が関係しているといわれています。とくにマラセチア性皮膚炎は皮膚のにおいが強くなる代表的な皮膚病です。
においの原因となる皮膚病を診断し、適切な治療とケアを行うことが大切です。
今回の記事を参考に愛犬の皮膚ケアをして、においのない快適な暮らしを目指しましょう。
どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)
麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。

