犬がお腹をかゆそうになめているのに気づいたことはありますか?
犬がしきりにお腹をなめているときは、皮膚が真っ赤になっていることも多いです。
犬のお腹は被毛が薄く、外部からの刺激を直接受けやすいため皮膚炎を起こしやすいです。
今回は犬のお腹のかゆみでよく見られる原因やおうちでできるケアについて解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の皮膚の健康のために役立ててみてください。
犬のお腹はかゆくなりやすい?
犬のおなかの皮膚は体のあらゆる部位の中でもとくにかゆくなりやすい部分です。
犬のお腹の皮膚がかゆくなりやすいのは以下の3点が主な理由です。
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皮膚がうすい
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被毛がうすい
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汚れやすい
犬のお腹の皮膚はうすくバリア機能が弱いため、外部刺激で炎症を起こしやすいです。
またお腹は被毛もうすいため、皮膚に汚れや外部のアレルゲンなどが直接当たります。
これらの理由から犬のお腹の皮膚は炎症を起こしてかゆくなりやすいです。
犬のお腹がかゆくなる皮膚病
犬のお腹のかゆみの原因となる皮膚病としては以下の4つがあげられます。
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犬アトピー性皮膚炎
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マラセチア性皮膚炎
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膿皮症
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ステロイド皮膚症
犬アトピー性皮膚炎
犬アトピー性皮膚炎は犬のお腹がかゆくなる原因としてとても多いです。
犬アトピー性皮膚炎の犬は皮膚バリア機能が弱く、外部の刺激に弱いといわれています。
外部の刺激としてはダニや花粉などの環境中のアレルゲンが代表的です。
しかし犬アトピー性皮膚炎の犬の皮膚が反応する刺激はアレルゲンだけではありません。
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公園の芝生
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暖房の熱
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バリカン
などさまざまなきっかけで皮膚に炎症を起こすことがわかっています。
犬のお腹は毛が薄いため、これらの刺激にさらされて皮膚がかゆくなりやすいです。
また犬アトピー性皮膚炎では、二次的にマラセチアやブドウ球菌が増えることも多いです。
犬アトピー性皮膚炎の治療はかゆみ止めの薬剤を使うことが有効です。
保湿などのスキンケアやシャンプーをすることも薬剤を減らすうえで大切ですね。
マラセチア性皮膚炎
マラセチア性皮膚炎は犬の皮膚の常在菌であるマラセチアが増殖して起こる皮膚炎です。
マラセチアは皮脂が過剰に分泌されると増殖します。
犬のお腹の皮膚にマラセチア性皮膚炎が起きると以下の症状が見られることが多いです。
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赤み
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べたつき
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独特のにおい
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皮膚の黒ずみ
またマラセチアは皮脂の分泌が増えるきっかけがないと過剰に増えることはありません。
このため皮脂が増えた原因を診断し、原因に対する治療を行うことが大切です。
そして増殖したマラセチアに対してはシャンプーによる洗浄を行うことが有効です。
マラセチアのシャンプーについてはこちらも読んでみてください。
犬のマラセチア性皮膚炎にはクレンジングが大切?|マラセチア対策に効果的なクレンジング成分とスキンケアを獣医師が解説!
膿皮症
膿皮症は皮膚に常在するブドウ球菌が毛穴に増殖して起こる皮膚炎です。
アレルギー性疾患や内分泌疾患をきっかけにブドウ球菌が増えてしまうことが多いです。
またおむつかぶれによってお腹の皮膚が膿皮症になる犬もいますね。
犬のお腹の皮膚に膿皮症が起きると、皮膚に以下のような症状が見られます。
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赤いぶつぶつ
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円形のかさぶた
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真っ赤なただれ
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過剰なフケ
膿皮症の治療では原因疾患に対する治療を行いつつ、ブドウ球菌の殺菌をします。
消毒薬やエリスリトールを使ってブドウ球菌の繁殖を抑えることが有効と言われています。
エリスリトールは糖アルコールの一種で静菌作用のある物質です。
エリスリトールについてはこちらもチェックしてみてください。
犬の皮膚の健康とエリスリトールの関係|エリスリトールの作用を解説
ステロイド皮膚症
ステロイド皮膚症は犬のお腹の皮膚にかゆみを起こす原因の一つです。
ステロイド皮膚症になるとお腹の皮膚に以下のような症状が見られます。
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赤み
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薄い皮膚
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過剰なフケ
ステロイド皮膚症の原因はステロイドの塗り薬の長期間の使用です。
じつは皮膚炎の治療にステロイドの塗り薬が処方されることはとても多いです。
ただし塗り薬を漫然と塗り続けると、副作用で皮膚がだんだん弱くなることがあります。
治療はステロイドの中止と原因に対する適切な治療が行われます。
犬のお腹のかゆみに対するおうちケア
犬のお腹のかゆみを防ぐためには、以下の日常生活でのケアを行うことも重要です。
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腸活
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保湿
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お腹がかくれる服
腸活
腸活はお腹のかゆみを防ぐうえで有効な体質改善方法です。
腸内環境が乱れていると皮膚の免疫バランスも崩れて、皮膚炎も起きやすいです。
最近では腸活によって犬アトピー性皮膚炎が改善したことが報告されています。
腸活についてはこちらを見てみてください。
保湿
保湿は犬のお腹のかゆみ対策として有効です。
犬のお腹の皮膚は被毛がうすくて乾燥しやすいため、皮膚バリア機能が低下しがちです。
皮膚が乾燥しやすい時期には、1日2~3回以上の頻度で保湿を行うとよいでしょう。
保湿についてはこちらもチェックしてみてください。
犬のアトピー性皮膚炎には保湿スプレーが効果的?|保湿スプレーの正しい使い方
お腹がかくれる服
散歩のときにお腹の皮膚がかくれる服を着せることはお腹の皮膚ケアとして大切です。
外出先で伏せをしたり寝転がったりすると、土や草が犬のお腹の皮膚にあたりますね。
とくに犬アトピー性皮膚炎の犬の皮膚はそれらの外部からの刺激に弱いです。
このためお腹の皮膚がかくれる服を着せて外出するとよいでしょう。
まとめ
犬のお腹の皮膚はかゆみが出て、犬がなめて赤くなることが多いです。犬のお腹は皮膚と被毛がうすいため、外部からの刺激を受けやすいためです。
犬のお腹のかゆみが続くときは、獣医師による正しい診断のもとで治療を受けましょう。
また動物病院での治療とあわせて、おうちでのケアもあわせると良いですね。
今回の記事を参考に、愛犬のきれいなお腹の皮膚を守っていきましょう。
どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)
麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。

