犬の腸活完全攻略ガイド｜腸と皮膚の意外な関係とは
「犬のアトピー性皮膚炎がなかなか治らない」
「犬の皮膚炎はお薬以外に何かできることはないの？」
「犬も腸内環境を改善すると皮膚のトラブルが改善するの？」
このようなお悩みをお持ちの方はいるのではないでしょうか。
近年、犬も腸活を行うことでさまざまな健康効果が期待できるとされています。
特にアトピー性皮膚炎などの皮膚トラブルの改善に腸活が効果的です。
今回の記事では腸と皮膚の関係や犬の腸活の方法について詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の腸活の理解を深めましょう。
腸の役割って？
腸は食物を消化吸収するだけでなく、免疫系を調節する重要な臓器です。
腸には免疫を担当する細胞の約70％が存在するとされています。
細菌やウイルスなどの病原体が体に入ってきた時に腸が異物と判断して排除してくれます。
免疫細胞を調節するのは腸内細菌叢
腸の免疫細胞がうまく働くためには腸内細菌叢が大切です。
腸内細菌叢のバランスを整えることで腸内で酪酸などの短鎖脂肪酸が増加します。
短鎖脂肪酸には、
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腸のエネルギーの産生
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腸内環境の酸性化
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善玉菌の増殖促進
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体内の代謝の制御
など多くの働きがありますね。
また、短鎖脂肪酸は免疫を担当する細胞の働きを調節してくれます。
皮膚の役割って？
皮膚の大切な役割は体の表面を覆い、病原体やアレルゲンなどから体を守るバリア機能があります。
皮膚にはこのように免疫を調節する機能が備わっています。
また、体内の水分などを体の外に逃がさないようにする働きもありますね。
皮膚にも常在細菌叢が存在
実は皮膚にも腸と同じように常在細菌叢が存在しています。
この常在細菌叢がバリアとして機能したり、免疫系を調節する役割を果たしています。
腸と皮膚の意外な関係とは
ここまで解説したように腸と皮膚は細菌叢が存在し、免疫を調節するという点で密接な関係があります。
人では腸内細菌叢が乱れると腸の疾患だけでなく、皮膚トラブルが起こりやすいとされていますね。
アトピー性皮膚炎の乳幼児は腸内細菌の多様性が低く、バランスが悪いと言われています。
腸内細菌のバランスが崩れると短鎖脂肪酸が減少し、免疫細胞が暴走してしまいます。
これがアトピー性皮膚炎の原因の一つです。
腸内細菌の多様性が乱れるとアトピー性皮膚炎だけでなく、食物アレルギーや喘息などのアレルギー性疾患が発症しやすくなります。人ではこの現象をアレルギーマーチと呼びます。
犬にもアレルギーマーチはあるの？
犬も人と同様にアレルギーマーチが存在するとされています。
アトピー性皮膚炎の多くは3歳以下の若齢で発症し、アトピーになった犬は
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食物アレルギー
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ノミアレルギー
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接触性皮膚炎
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アレルギー性結膜炎
などの他のアレルギー疾患を併発しやすいと言われています。
腸活で犬の皮膚トラブルが改善する？
腸活とは腸内環境を整え、腸内細菌叢を豊かにすることです。腸活は皮膚トラブルを抱える犬に効果的です。
特にアトピー性皮膚炎のある子犬は早期に腸活をすることで、
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発症を予防する
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発症した場合も症状が軽症で済む
などの効果が期待できます。
犬の腸活に有効な成分
「犬は腸活はどのようなものを取り入れればいいの？」
このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
ここでは犬の腸活に取り入れたい成分について解説します。
プロバイオティクス
プロバイオティクスは生きた有益な菌のことを指しますね。
犬の腸内ではビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が重要な役割を果たしています。
プロバイオティクスはこれらの善玉菌を腸内に届けることで腸内細菌のバランスを改善します。
プレバイオティクス
プレバイオティクスは腸内の善玉菌のエサになる食物繊維やオリゴ糖などのことです。
善玉菌の増殖を促すことで腸内で酪酸を増やし腸内環境を改善します。
中でもケストースというオリゴ糖は犬の糞便中の酪酸が増えたという研究もあります。
バイオジェニクス
バイオジェニクスは乳酸菌などのプロバイオティクスを加熱処理したものであり、乳酸菌に含まれる腸活に有効な成分が濃縮されています。
プロバイオティクスは生きた乳酸菌を腸まで届ける必要がありますが、バイオジェニクスは効率よく乳酸菌の成分を摂取することができます。
犬の腸活の方法
シンバイオティクスというプロバイオティクスとプレバイオティクスを同時に取り入れる方法が有効です。
シンバイオティクスではプロバイオティクスとプレバイオティクスの相乗効果が得られます。
犬でこれらの成分をしっかりと取り入れるためにはサプリメントがおすすめです。
腸活は継続することで効果が実感できるのでサプリメントを最低でも2〜3ヶ月程度は続けてみましょう。
まとめ
腸と皮膚は密接に関係しており、腸内環境を整えることは非常に重要です。
最近では、腸内細菌叢は皮膚だけでなく、全身の健康に影響を与えることがわかってきています。
また、腸内環境を整える方法として糞便移植の研究も進んでいます。
愛犬が健康に過ごせるように、日常生活に腸活を取り入れてみましょう。
記事監修者
どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士（獣医皮膚病学）
麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科目・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。