犬の皮膚病がなかなか治らないと飼い主様は不安を感じますよね。
「動物病院で治療を受けているのに、また愛犬の皮膚病がぶり返してしまった」
このような方も多いのではないでしょうか。
じつは犬の皮膚病は一時的に良くなっても、隠れた原因を治療しないと再発してしまいます。
今回は犬の皮膚病が治らない原因とおうちでできる対策を解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬のしぶとい皮膚病を治すための参考にしてください。
犬の皮膚病が治らない理由
犬の皮膚病がなかなか治らない最大の理由は、原因に対する治療ができていないことです。
例えば、常在菌が増殖している皮膚病は菌だけが悪いのではなく、増殖する原因には必ず隠れています。
このため原因となる病気を治療しなければ、皮膚病は何度も再発してしまいます。
以下の2つは犬の皮膚病のなかでも繰り返し再発しやすいものの代表例です。
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膿皮症
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マラセチア性皮膚炎
それぞれについて簡単に解説していきます。
膿皮症
膿皮症は犬の皮膚の常在菌であるブドウ球菌が増えることで起こる皮膚病です。
膿皮症になると犬の皮膚に赤い発疹やかさぶたが見られ、かゆみも伴います。
この病気は抗生物質で改善しますが、原因となる病気を治療しなければ再発することがほとんどです。
マラセチア性皮膚炎
マラセチア性皮膚炎は犬の皮膚に常在するマラセチアという真菌が過剰に増えて起こります。
マラセチア性皮膚炎は皮膚のベタつきや独特のにおい、茶色っぽい皮膚の変化が特徴です。
対症療法として抗真菌剤配合シャンプーによって改善しますが、治りきらずに再発することも多いです。
繰り返す皮膚病の本当の原因
繰り返し起こる皮膚病の本当の原因は皮膚の常在菌ではなく、その背景にある病気です。
以下は犬の皮膚病の背景にある病気としてよく発生するものです。
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犬アトピー性皮膚炎
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食物アレルギー
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内分泌疾患
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ニキビダニ症
犬アトピー性皮膚炎
犬アトピー性皮膚炎は環境中のアレルゲンに反応して皮膚にかゆみを起こす皮膚病です。
犬アトピー性皮膚炎の犬は皮膚バリアが弱いため、皮膚の常在菌が増殖しやすいです。
このため膿皮症やマラセチア性皮膚炎が二次的に起きやすいという特徴があります。
犬アトピー性皮膚炎は完治しないため、診断された場合は継続的にかゆみの管理をして再発を防ぐことが大切です。
食物アレルギー
食物アレルギーは特定の食材に免疫が反応して犬の皮膚にかゆみが出る状態のことです。
原因の食材を取り除かなければ、かゆみと皮膚炎が繰り返し起きてしまいます。
また膿皮症やマラセチア性皮膚炎の原因にもなりやすいです。
犬の食物アレルギーは除去食試験によって診断することが一般的です。
除去食試験では、アレルゲンを含まない食事を犬に2ヶ月間与えます。
これにより皮膚炎が改善すれば食物アレルギーの疑いが強くなります。
内分泌疾患
内分泌疾患は犬の体内のホルモンの分泌に異常が起こる病気です。
ホルモンの異常があると犬の皮膚がうすくなったり、脱毛が起きたりして皮膚バリア機能が低下します。
内分泌疾患はホルモン製剤の投与を行わなければ治らず、皮膚病もなかなか改善しません。
内分泌疾患は血液検査や超音波検査を行って診断する必要があります。
このため皮膚病がなかなか治らない場合は、皮膚だけでなく全身の状態を診てもらうことが大切です。
ニキビダニ症
ニキビダニは多くの犬の皮膚の毛穴に常在する目に見えないダニです。
通常は皮膚炎を起こしませんが、免疫力の低下した犬では繁殖して皮膚炎を起こします。
皮膚炎がなかなか治らない犬で、駆虫薬の投与をしていない場合はニキビダニ症の可能性も考えられます。
なかなか原因がわからないときは皮膚科の獣医師を受診
治療を受けていても愛犬の皮膚病が繰り返したり治らない場合は、皮膚科の獣医師を受診することが大切です。
皮膚科に詳しい獣医師の適切な診断を受けることで、皮膚病が解決する可能性があります。
FINAL ANSWER認定動物病院の獣医師は皮膚病を体系的に学んでおり、より適切な診断と治療を行うことが出来ます。
ぜひFINAL ANSWER認定動物病院MAPでお近くの認定動物病院を探してみてください。
繰り返す犬の皮膚病を防ぐおうちケア
繰り返す犬の皮膚病を防ぐためには、治療と並行しておうちでのケアも取り入れましょう。
以下の3つは皮膚病を改善したり、起きにくくするうえで重要です。
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腸活
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エリスリトール
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定期的な駆虫薬
腸活
腸活は腸内細菌叢を良くすることで体質を改善し、過剰な免疫を抑える効果があります。
これにより犬アトピー性皮膚炎のかゆみを改善して、かゆみ止めを減らすことができます。
腸活の効果が出るには3ヶ月以上はかかるため、気長に取り組むことが大切です。
腸活についてはこちらを読んでみてください。
エリスリトール
エリスリトールは糖アルコールの一種で、皮膚常在菌の増殖を抑える効果があります。
とくに犬の皮膚で増殖しやすいブドウ球菌やマラセチアに対して効果的です。
エリスリトール含有の保湿剤が便利で、1日3回以上犬の肌にスプレーすることがポイントです。。
エリスリトールについてはこちらをチェックしてみてください。
繰り返す犬の外耳炎を予防するエリスリトールの効果を獣医師が解説!
定期的な駆虫薬
ノミやダニの駆虫薬を定期的に投与することは皮膚病対策の基本です。
とくにニキビダニ症の可能性がある場合、定期的な駆虫は重要です。
動物病院で処方している駆虫薬を使うことで、ニキビダニ症を効果的に予防することができます。
まとめ
犬の皮膚病は、本当の原因となっている病気を治療しなければ何度でも再発します。どうしても治らないときや何度も再発する場合には、皮膚病に詳しい獣医師に相談することが勧められます。
また治療と並行して、おうちでできるケアを取り入れることも皮膚病を改善させるために有効です。
今回の記事を参考に、愛犬の皮膚の健康を守るための一歩につなげてください。
どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)
麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。

