ポメラニアンに多い脱毛症|ポメラニアンによくある皮膚病と対策について獣医師が解説

ポメラニアンはふわふわした美しい毛並みが特徴の人気犬種です。
しかしその魅力的な被毛が皮膚病で抜けてしまうことがあります。
「最近、うちの子の毛が薄くなってきた」
と感じている飼い主様もいらっしゃるかもしれません。
実はポメラニアンは他の犬種と比べて脱毛症になりやすい傾向があります。
今回はポメラニアンに多い脱毛症について、原因やご家庭でできる対策を獣医師が詳しく解説します。
ぜひ最後まで読んで、愛犬の毛並みと皮膚の健康を守るための参考にしてください。

茶色ポメラニアン

ポメラニアンは脱毛症が多い?

ポメラニアンは脱毛症が多いことがよく知られています。
ポメラニアンの脱毛症では急激に毛が抜けるというよりは、徐々に毛が薄くなっていくケースがよく見られます。
またかゆみや炎症が目立たない場合もあるため、最初は気づきにくいかもしれません。

脱毛は見た目の問題だけでなく、乾燥や外部の刺激から皮膚を守る被毛がなくなって皮膚炎を起こしやすくなります。
皮膚炎が進行すると、毛の抜けた部分の皮膚が黒ずんで色素沈着することもあるため注意が必要です。

ポメラニアンの脱毛症の原因

ポメラニアンの脱毛症にはさまざまな原因があり、原因に合わせた治療をすることが大切です。
ポメラニアンの脱毛症の代表的な原因は以下の3つです。

  • アレルギー性疾患

  • 内分泌疾患

  • アロペシアX

それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。

アレルギー性疾患

アレルギー性疾患は、ポメラニアンの脱毛症の原因のひとつです。
アレルギー性疾患の中でも、主に犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーが脱毛の原因になります。
アレルギー性疾患の場合は、脱毛症状に加えてかゆみも伴うことがポイントです。
アレルギー反応を起こした犬がかゆみのあまり体をかきむしると、どんどん毛が抜けて脱毛が進行します。
治療には、かゆみ止めの薬を使用することとアレルゲンを回避することが重要です。

内分泌疾患

内分泌疾患もポメラニアンの脱毛の原因になります。
内分泌疾患とはホルモン分泌の異常によって体の異常が起こる病気のことです。
とくに皮膚に症状が出る内分泌疾患は以下の3つが挙げられます。

  • 甲状腺機能低下症

  • クッシング症候群

  • 性ホルモン性脱毛

いずれの疾患も、ホルモン分泌の異常により毛が薄くなることが特徴です。
治療にはホルモンのバランスを整える薬が用いられますが、皮膚症状が改善するのには数ヶ月時間がかかることが多いです。
また性ホルモン性脱毛の場合は、去勢や避妊をすることで発毛する場合があります。

アロペシアX

アロペシアXはポメラニアンの脱毛症のひとつです。
この病気はかゆみや炎症を起こさずに毛が抜けていくのが特徴です。
お尻、膝の裏、首回りなどから脱毛が始まり、進行すると胴体の毛も抜けます。
原因は分かっていませんが、ホルモンや遺伝的な理由で発毛の周期が止まってしまうためだと言われています。
治療にはホルモン療法やサプリメント、レーザー治療などが試されています。
犬によって効果のある治療法は異なりますが、どの方法も少なくとも3ヶ月程度は継続した上で効果判定をします。
このため治療効果を得るにはかなり時間がかかることも多いです。

走っている白いポメラニアン

ポメラニアンの脱毛症に対するご家庭でのケア

ポメラニアンの脱毛症に対しては、ご家庭でのケアも大切です。
脱毛症の進行を抑えるためには、以下のような取り組みが効果的です。

  • 食事の見直し

  • 腸活による体質改善

  • 定期的なシャンプーと保湿

それぞれについて見ていきましょう。

食事の見直し

食事の見直しは、ポメラニアンの脱毛を改善するうえで重要です。
食事中の栄養は皮膚や被毛に大きな影響を与えます。
健康な被毛に必要な栄養である亜鉛やビタミンE、オメガ3脂肪酸などが含まれたドッグフードを与えることが大切です。
またサプリメントを与えることも栄養素を摂取するのに有効な方法です。
サプリメントについてはこちらにまとめているのでチェックしてみてください。

犬の皮膚の健康を守るサプリメントとは|犬のサプリメントの成分を解説

腸活による体質改善

腸活は脱毛症に悩む犬にとって有効なケア方法のひとつです。
腸内細菌のバランスが整うと、アレルギー反応が出にくい体質に改善されることが知られています。
プロバイオティクスやプレバイオティクスを含んだサプリメントを取り入れることで、腸内細菌のバランスを改善することができます。
効果が出るまでには3か月以上かかることが多いため、継続して取り組むことが大切です。
腸活についてはこちらにまとめているので、参考にしてみてください。

犬の食物アレルギーと腸活の深い関係|食物アレルギーの新しいアプローチを解説

定期的なシャンプーと保湿

定期的なシャンプーと保湿で皮膚の清潔とうるおいを保つことは、脱毛の悪化を防ぐために欠かせません。
脱毛して弱くなった皮膚は常在菌が増えて皮膚炎を起こすことが多く、そのような場合は抗菌シャンプーを用いることが効果的です。

また脱毛を起こした皮膚は乾燥しやすく、保湿剤を使って皮膚をうるおすことが有効です。
シャンプー後の仕上げの保湿はもちろん、日常的に1日2回以上の保湿ケアもしましょう。
保湿についてはこちらにまとめているので、チェックしてみてください。

犬に保湿は必要?|皮膚トラブルを防ぐ正しい保湿ケアとは

まとめ

ポメラニアンはさまざまな原因で脱毛症を起こします。
愛犬の毛が抜けてきたと感じたら、まずは動物病院で診察を受けましょう。
早期に原因を特定し、適切な治療を行うことが改善への第一歩です。
愛犬の美しい毛並みを守るために、ぜひ今回ご紹介したおうちケアを実践してみてください。


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記事監修者

伊従慶太獣医師

どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)

麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。