犬のシャンプーのやりすぎは逆効果?|犬の正しいシャンプーを獣医師が解説

シャンプーされるチワワ

犬の皮膚を清潔に保つために家でシャンプーをする飼い主様は多いのではないでしょうか。
シャンプーは犬の皮膚の健康を保つために有効なスキンケア方法です。
しかし、犬のシャンプーはやりすぎると皮膚に思わぬトラブルを引き起こす危険があります。

この記事では犬のシャンプーのやりすぎで起こるトラブルについて解説し、正しいシャンプーの方法などを解説します。
犬の飼い主様は最後までお読みいただき、シャンプーをする際の参考にしてみてください。

犬のシャンプーのやりすぎが引き起こす皮膚トラブル

シャンプーされる黒いチワワ

犬のシャンプーは皮膚を清潔に保つうえで大切なケアですが、頻繁にシャンプーをしすぎてしまうと、かえって皮膚の健康を損なうことがあります。

犬の皮膚はデリケートであり、外部からの刺激にも敏感です。
ここでは、シャンプーのやりすぎが引き起こすおもな皮膚トラブルについて詳しく解説します。

乾燥やカサつき

犬の皮膚には皮脂膜と呼ばれる薄い保護バリアが存在します。
皮脂膜は外部の刺激や汚れ、病原菌から皮膚を守ったり、潤いを保持する重要な役割を果たします。
ところが、頻繁にシャンプーを行うことで、皮脂膜が洗い流されることがあるので注意が必要です。
皮脂膜が失われると皮膚が乾燥し、カサつきが目立つようになります。

膿皮症

健康な犬の皮膚には常在菌が存在し、皮膚の健康を維持する役割を果たしています。
しかし、シャンプーのやりすぎによって常在菌のバランスが崩れ、細菌が異常に増殖することがあります。
その結果、皮膚の細菌感染である膿皮症を発症するリスクが高まりますね。

アレルギー性皮膚炎の悪化

シャンプーのやりすぎにより皮膚のバリア機能が低下すると、アレルギーの原因であるアレルゲンが体内に侵入しやすくなります。
アレルゲンが体に侵入すると、アトピー性皮膚炎などをもつ犬では症状が悪化し、治療が難航することが多いです。
また、香料などの添加物が含まれているシャンプーはアレルギー反応を引き起こしやすいため注意が必要です。

脱毛や被毛のパサつき

シャンプーを行うことで皮脂が極端に減少すると、皮膚だけでなく被毛にも悪影響です。
皮脂が減少すると毛並みにツヤがなくなり、パサパサと乾燥した状態になります。
最終的には毛が抜けてしまうことで、皮膚炎を起こしやすくなります。

犬のシャンプーが必要な場面

タオルにくるまるトイプードル

犬のシャンプーはやりすぎると皮膚トラブルの原因になります。
しかし、シャンプーを行うことで、犬を清潔に保ち、皮膚や被毛の健康を維持することが可能です。
犬のシャンプーが本当に必要な場面をご紹介します。

目立った汚れや臭いがある

散歩や外遊びなどで泥や砂などがついた時や、普段以上に体臭やベタつきが気になる場合はシャンプーで清潔にしましょう。
特に、汚れが皮膚に長時間ついていると、皮膚トラブルにつながります。
ただし、部分的な汚れであれば濡れタオルで拭き取るだけでも十分な場合もあります。

換毛期

春と秋に発生する換毛期には抜け毛が増え、被毛や皮膚も汚れやすくなります。
この時期は抜け毛のケアのために、普段よりもシャンプーが必要な場合があります。

適度にブラッシングを行い、抜け毛や汚れがひどい場合はシャンプーでケアしましょう。

皮膚病治療のサポート

シャンプーは皮膚病治療の一環として動物病院で処方されることもあります。
膿皮症やアトピー性皮膚炎など特定の病気がある場合は獣医師の指示に従い、薬用シャンプーを用いた洗浄が必要です。
シャンプーを行う際は必ず頻度や方法を獣医師に確認して、適切に使用しましょう。

シャンプーの適切な頻度

健康な被毛と皮膚をもつ犬のシャンプーは月に1回程度が目安です。
これは皮脂バランスや皮膚バリアを損なわず、適切な清潔さを保つことのできる頻度です。
長毛種などで皮膚に汚れがたまりやすい犬は月に2〜3回程度のシャンプーを行いましょう。
皮膚病の治療や薬浴が必要な際は、獣医師から指示された頻度でシャンプーをすることが大切です。

皮膚の健康維持には保湿も重要

シャンプーによる皮膚バリア機能の低下を防ぐには保湿が重要です。
犬用保湿スプレーや保湿ローションは皮膚の乾燥やかゆみの予防・緩和に効果的です。
特に皮膚が乾燥しやすい犬やアレルギー体質の犬は積極的に保湿を行いましょう。
保湿剤はシャンプー後やブラッシング時に皮膚になじませながら使うことがおすすめです。

犬の保湿については以下の記事で詳しくまとめています。

犬に保湿は必要?|皮膚トラブルを防ぐ正しい保湿ケアとは

まとめ

シャンプーは犬の皮膚を清潔に保つために大切ですが、やりすぎは逆効果です。
正しい頻度でシャンプーを行い、犬の皮膚の健康を守りましょう。
また、保湿を習慣づけることで皮膚のバリア機能を強化できます。
適切なスキンケア習慣が犬の快適な毎日を支える第一歩になります。


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記事監修者

伊従慶太獣医師

どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)

麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。