犬がお尻をかゆがる理由とは?|犬のお尻のかゆみの原因と対策を獣医師が解説

犬が頻繁にお尻を舐めたり、床にこすりつける様子を見て心配になったことはありませんか?
犬にとってお尻のかゆみは日常的に起こりうる悩みの一つです。
犬のお尻のかゆみは適切な対処法を知ることで解決できることがほとんどです。
この記事では犬のお尻のかゆみの原因を詳しく解説し、効果的な対策をお伝えします。
犬のお尻のトラブルにお悩みの飼い主様はぜひ最後までお読みいただき、かゆみ対策にお役立てください。

犬のお尻がかゆい場合のサイン

チワワの後ろ姿

犬はお尻のかゆみを言葉で伝えることができません。
飼い主様は犬の行動をよく観察し、かゆみのサインを見つけることが重要です。
お尻のかゆみを訴える代表的な症状は以下の通りです。

  • お尻を床にこすりつける

  • しきりにお尻を舐める

  • 尻尾をしきりに追いかける

  • 排便時に痛がる

犬にこれらの行動が頻繁に見られる場合は、お尻の皮膚トラブルや見えない異常が隠れている可能性があります。

犬のお尻がかゆくなる原因

犬のお尻がかゆくなる原因は多岐にわたります。
かゆみの根本を正しく理解することは、効果的な対策や予防の第一歩です。
ここでは、犬のお尻がかゆくなる代表的な原因を詳しくご紹介します。

肛門嚢炎

肛門嚢は肛門の左右にある分泌液をためる小さな袋です。
肛門嚢に分泌される液は通常、排便時に少しずつ分泌されます。
しかし、小型犬は肛門嚢への分泌液を出す機能が未発達なことが多く、肛門腺に分泌液がたまりすぎて炎症を起こします。
肛門嚢炎では肛門嚢に細菌感染を起こし、かゆみや痛みが生じますね。

肛門嚢破裂

肛門嚢の分泌液がたまりすぎると、最終的には肛門嚢が破裂してしまうことがあります。
肛門嚢破裂では肛門嚢周囲の皮膚に穴が開き、炎症を起こします。
強い痛みも生じ、全身状態にも影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。

アレルギー性皮膚炎

犬アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー性皮膚炎でもお尻のかゆみが出ることが多いです。
お尻まわりの皮膚は刺激を受けやすい部位であるため、アレルギー性皮膚炎でもかゆみの症状が出やすいです。
アレルギー性皮膚炎ではお尻だけでなく、顔や足先などもかゆくなることがあります。

肛門周囲の腫瘍やポリープ

肛門周囲に腫瘍やポリープができてしまうと、それ自体が炎症や刺激となり、かゆみを感じることがあります。
腫瘍やポリープは大きくなることで、破裂して出血を起こすこともあるので注意しましょう。

肛門の腫瘍ではかゆみ以外にも排便困難などの症状が現れます。

家庭でできるお尻のかゆみ対策

ラブラドールレトリーバーの横顔

犬のお尻のかゆみは家庭でできるケアで症状を緩和できるケースもあります。

家庭でできるお尻のかゆみ対策は以下の通りです。

お尻まわりを清潔に保つ

お尻のかゆみの原因はさまざまですが、お尻まわりを清潔に保つことが重要です。
散歩やトイレの後は犬用のウェットティッシュや濡れたタオルでお尻の周辺をやさしく拭きましょう。
特に長毛の犬は排便後に毛に便が付着し、かゆみや炎症を誘発することがあります。
必要に応じて肛門周辺の毛を短く整えることもおすすめです。

肛門嚢の処置を行う

肛門嚢がたまりやすい犬は定期的に肛門嚢の処置(絞るなど)を行うことが大切です。

肛門嚢の内容物をケアすることで肛門嚢炎や肛門嚢破裂の予防につながります。
初めての場合や自宅でのケアに自信がない場合は動物病院やトリミングサロンにお願いすると安心です。

保湿ケアを行う

乾燥は皮膚バリア機能の低下を引き起こし、かゆみの大きな原因になります。
特にアレルギー性皮膚炎の犬は皮膚バリア機能が低下していることが多いです。
保湿ケアを行うことで、皮膚のバリア機能を強化し、乾燥などの皮膚トラブルを軽減する効果が期待できます。
保湿剤は入浴やシャンプー後、あるいはカサつきが気になるときに使用するのがおすすめです。
犬の保湿については以下の記事をチェックしてみてください。
犬に保湿は必要?|皮膚トラブルを防ぐ正しい保湿ケアとは

腸活で腸内環境を整える

皮膚の健康は腸内環境と大きく関わっています。
腸活で腸内環境を整えることで、皮膚バリア機能を強化することができるとされていますね。
犬の腸活はプロバイオティクスやプレバイオティクスのサプリを用いると継続しやすいです。
犬の腸活は以下の記事で詳しくまとめています。

犬の腸活完全攻略ガイド|腸と皮膚の意外な関係とは

まとめ

いかがでしたか。

お尻のかゆみが続くと、犬の生活の質が低下します。
お尻のかゆみは動物病院での治療が必要なこともありますが、今回紹介したケアを行うことでお尻のトラブルを回避できる可能性があります。

犬のお尻のかゆみや皮膚炎にお悩みの飼い主様は、ぜひお試しください。


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記事監修者

伊従慶太獣医師

どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)

麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。