ミニチュアダックスフンドの皮膚病|ダックスに多い皮膚病について獣医師が徹底解説!

ミニチュアダックスフンド(以下ダックスフンド)は長い胴と短い足の特徴的な体型と、活発で愛嬌のある性格が魅力の犬種です。
そんなダックスフンドですが、皮膚がデリケートな子が多い傾向があります。
アレルギー体質の子も多く、若い頃から皮膚病をくり返すケースも珍しくありません。
また耳が大きく垂れているため耳の中が蒸れやすく、外耳炎も起こりやすいです。
この記事ではダックスフンドによく見られる皮膚病について獣医師が解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、ダックスフンドの皮膚トラブルに困ったときの参考にしてください。

こちらを見ている黒いミニチュアダックスフンド

ダックスフンドの特徴

ダックスフンドの特徴として以下の3点が皮膚病の起こりやすさと関係しています。

  • 免疫の異常が多い

  • 耳が垂れている

  • 耳が大きい

ひとつずつ見ていきましょう。

免疫の異常が多い

免疫の異常が多いのはダックスフンドの特徴のひとつです。
ダックスフンドは皮膚や腸、鼻などの臓器で自己免疫性の炎症を起こしやすいです。
そのなかには食物アレルギーや犬アトピー性皮膚炎なども含まれます。
これらのアレルギー性皮膚炎によるかゆみや皮膚炎に悩まされることは珍しくありません。

耳が垂れている

耳が垂れていることはダックスフンドの特徴のひとつです。
垂れた耳は耳道を塞ぐため、耳道が蒸れやすくなります。
このためダックスフンドは外耳炎を起こしやすいといわれています。

耳が大きい

耳が大きいことはダックスフンドの愛らしい特徴の一つです。
ただその大きさゆえに、耳の末端の皮膚の血流が悪くなることが多いです。
これにより耳の先端や辺縁の皮膚が炎症を起こしたり、脱毛したりすることがあります。

ダックスフンドに多い皮膚病

ダックスフンドに多い皮膚病には、次のようなものがあります。

  • 犬アトピー性皮膚炎

  • 外耳炎

  • 耳介の脱毛やフケ

それぞれについて、順に解説していきます。

犬アトピー性皮膚炎

犬アトピー性皮膚炎はダックスフンドに多い皮膚病の一つです。
犬アトピー性皮膚炎は空気中の花粉やハウスダスト、カビなどに反応してアレルギー症状が出る皮膚病です。
主な症状としては、体中の皮膚の赤みやかゆみが見られます。
この病気の犬は皮膚のバリアが弱く、外部からの刺激や気候の変化に敏感です。

また二次的に膿皮症やマラセチア性皮膚炎などの感染症を併発することもあります。
とくに以下の部位は膿皮症やマラセチア性皮膚炎が起きやすいです。

  • 背中

  • 腹部

  • 足先

犬アトピー性皮膚炎の治療はかゆみ止めの内服薬を投与することが中心です。
二次性の感染症がある場合は、シャンプーや消毒を併用することもあります。

外耳炎

外耳炎は耳の入口から鼓膜の間の外耳道に炎症が起こる病気です。
ミニチュアダックスフンドは耳が垂れていて耳の中が蒸れやすいため、外耳炎を起こしやすい傾向にあります。
外耳炎の犬は耳をかゆがるしぐさが増えたり、耳垢やにおいが出ることがあります。

外耳炎の治療は獣医師による耳洗浄と家庭での点耳薬が基本です。
早く治療を始めれば治るのも早いので、愛犬の耳の異常に気づいたら早めに動物病院を受診しましょう。

耳介の脱毛やフケ

耳介のフケや脱毛は、ダックスフンドによく見られます。
とくに以下の皮膚病によって耳介の脱毛や皮膚炎を起こすことが多いです。

  • パターン脱毛症

  • 耳輪皮膚症

  • 皮膚血管炎

  • 虚血性皮膚症

それぞれについての説明は割愛しますが、耳介の脱毛やフケ、時に皮膚炎や皮膚の脱落を起こす皮膚病です。
見た目だけでは区別がつかないことが多いため、診断には皮膚の病理組織検査が必要です。
ダックスの耳が脱毛してしまったら、早めに獣医師に診てもらいましょう。

うつ伏せで上目遣いの茶色いミニチュアダックスフンド

ダックスフンドの皮膚にできるおうちケア

ダックスフンドの皮膚の状態を安定させるためには、日常的なおうちケアも大切です。
次のような方法を組み合わせて取り入れると、皮膚病の予防や再発の防止に役立ちます。

  • 保湿

  • 栄養素の摂取

  • 腸活

それぞれについて詳しく解説します。

保湿

保湿はダックスフンドの皮膚炎を予防する上で有効です。
皮膚が乾燥するとバリアが弱くなり、ブドウ球菌やマラセチアが増殖しやすくなります。
保湿を継続することで皮膚のバリア機能が整い、かゆみや炎症が起きにくくなります。

保湿についてはこちらにまとめているので、チェックしてみてください。
犬のアトピー性皮膚炎には保湿スプレーが効果的?|保湿スプレーの正しい使い方

栄養素の摂取

栄養素の摂取はダックスフンドの皮膚の状態をよくするために重要です。
以下のような栄養素は皮膚の状態の改善に役立ちます。

  • オメガ3脂肪酸

  • ビタミンE

  • 亜鉛


とくにビタミンEは皮膚末端の血行を改善するため、耳介辺縁の脱毛がある場合にはぜひ取り入れたい栄養素の一つです。
これらの栄養素は、ドッグフードの見直しやサプリメントによって取り入れましょう。
サプリメントについてはこちらにまとめているので参考にしてみてください。
犬の皮膚の健康を守るサプリメントとは|犬のサプリメントの成分を解説

腸活

腸活は皮膚のアレルギーを軽減させるために有効です。
腸活によって腸内環境が整うことでアレルギー反応が起きにくくなります。
これにより犬アトピー性皮膚炎などの症状が軽減することが報告されています。

腸活はプロバイオティクスやプレバイオティクスを継続して摂取することが効果的です。
即効性はありませんが、3ヶ月以上続けることで体質改善が期待できます。
腸活についてはこちらも読んでみてください。
犬も腸活によい食べ物で健康になる?|犬の腸活に効果的な方法を解説

まとめ

ダックスフンドは自己免疫性疾患が多く、アレルギー性の皮膚炎も珍しくありません。
また大きくて垂れた特徴的な耳の形に関係した外耳炎や耳介辺縁の脱毛も多いです。

適切なおうちケアをしっかり行うことで、皮膚の状態が安定する場合があります。
まずは獣医師に診察をしてもらい、愛犬の状態に合わせた治療とケアに取り組みましょう。

 


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記事監修者

伊従慶太獣医師

どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)

麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。