「犬の肉球がカサカサしているかも」
と心配になったことがある飼い主様は多いのではないでしょうか。
犬の肉球は本来、しっとりとした弾力のある触りごごちが正常です。
しかし、さまざまな要因により肉球がカサカサと乾燥してしまうことがあります。
この記事では犬の肉球がカサカサする原因から対策までをわかりやすく解説します。
犬の肉球トラブルにお悩みの飼い主様はぜひ最後までお読みいただき、犬の肉球ケアにお役立てください。
犬の肉球がカサカサするのはなぜ?
肉球は犬の足裏を守るクッションの役割を果たしており、犬が走ったりする動作には欠かせません。
犬の肉球は本来、適度な弾力とうるおいで足を外部刺激から守ってくれますが、さまざまな原因で肉球がカサカサしてしまうことがあります。
肉球がカサカサする代表的な原因は以下の通りです。
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乾燥した環境
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足への荷重バランスの変化
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加齢による新陳代謝の低下
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栄養バランスの偏り
肉球がカサカサする原因はこれらだけでなく、全身性の病気が隠れていることもあります。
犬の肉球がカサカサしている場合は動物病院を受診し、原因を特定することが重要です。
夏の散歩は肉球へのダメージに要注意!
気持ちよく晴れた日は犬とお出かけを楽しむ方も多いと思います。
しかし、夏の暑い時間帯の散歩は肉球にダメージを与える危険性が潜んでいるので要注意です。
夏のアスファルトは直射日光によって高温になり、晴天時には50〜60度を超えることも珍しくありません。
人間は靴を履いているので気がつきにくいですが、犬の肉球は高温の路面に直接触れることで、肉球の水分が一気に奪われ、カサつきや火傷につながります。
肉球へのダメージを防ぐには、夏は比較的涼しい早朝や夕方以降に散歩することがおすすめです。
また、アスファルトの上を歩かなければならない場合は、なるべく日陰を選んで歩きましょう。
犬の肉球のカサカサを放置するとどうなる?
犬の肉球がカサカサしている状態を
「そのうち自然に治るだろう」
と放置してしまう方も少なくありません。
しかし、肉球のカサカサは単なる乾燥だけにとどまらず、さまざまな健康リスクや生活の質の低下に直結する可能性があります。
犬の肉球のカサカサを放置した場合の具体的なリスクは以下のようなものが考えられます。
ひび割れや出血
最初は軽いカサつきでも、乾燥が進むと肉球表面の柔軟性が失われ、ひび割れが生じることがあります。
肉球がひび割れてしまうと、出血を起こすことがあるので注意しましょう。
肉球のひび割れや出血は痛みを伴い、犬の歩行にも悪影響を与えます。
細菌感染
乾燥でカサカサした肉球は外部刺激に対するバリア機能が低下した状態です。
肉球のバリア機能が低下すると、散歩中などに細菌感染を起こすリスクが高まりますね。
細菌感染を起こすと、肉球や指の間が赤く腫れたり、膿が出ることもあります。
ひどい場合には発熱など全身状態の悪化につながります。
カサつきから肉球を守るケア
犬の肉球の健康を守るには肉球がカサカサになってしまう前に、毎日のケアでしっかりとケアを行うことが大切です。
肉球は犬が歩いたり走ったりするたびに外部からの刺激にさらされるため、早めのお手入れによってトラブルを未然に防ぐことができます。
ここでは具体的な肉球ケアの方法を解説していきます。
保湿ケア
肉球のカサつき予防の一番のポイントは保湿です。
肉球はデリケートなため、保湿をする際は犬専用の保湿剤を使用しましょう。
保湿剤は、入浴後など肉球が清潔な状態で使用するのが効果的です。
特に乾燥が気になる時期や、散歩の頻度が高い場合は、こまめな保湿を心がけましょう。
犬の保湿に関しては以下の記事でまとめています。
犬に保湿は必要?|皮膚トラブルを防ぐ正しい保湿ケアとは
室内環境の整備
犬が生活する室内が乾燥していると、肉球の水分も蒸発しやすくなります。
乾燥する季節は加湿器を使用するなどして、適切な湿度を保つように心がけましょう。
また、フローリングなど滑りやすい床材の場合はカーペットやマットを敷くことで、肉球への負担を軽減することができます。
まとめ
犬の肉球は地面との摩擦や刺激に常にさらされているデリケートな部位です。カサカサした肉球を放置すると、さまざまなトラブルにつながり、犬の生活の質が低下します。
今回ご紹介したケアを続けることで健康な肉球を維持することができます。
乾燥やひび割れから犬の肉球を守るために、今日からできることを始めてみましょう。

どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)
麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。