チワワに多い被毛のべたべた|チワワの皮膚病と対策を獣医師が解説

チワワに多い被毛のべたべた|チワワの皮膚病と対策を獣医師が解説

チワワは小柄な体格と愛らしい顔つきで日本では人気の品種です。
チワワは被毛が短い子からロングコートの子までおり、毛並みの美しさも魅力のひとつですよね。
そんなチワワですが、きれいな毛が皮膚病でべたべたになることも珍しくありません。

今回はチワワに多い皮膚病について解説し、ご自宅でできる対策もご紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、チワワの皮膚のケアにお役立てください。

こちらを見ているチワワ

チワワの皮膚の特徴

チワワの皮膚は、皮膚病になると皮脂が出やすいことが特徴です。
皮脂は乾燥や外部の刺激から皮膚を守るために必要ですが、分泌されすぎると皮膚の常在菌が増殖して皮膚炎を起こします。
また皮脂が出ると大量のフケが出ることが多いですが、チワワの場合はフケではなく被毛がべたべたしてくることが特徴です。

これを湿性脂漏といい、被毛がワックスをつけたように毛束になってしまいます。

チワワに多い皮膚病

チワワに多い皮膚病は、いずれも皮脂の分泌に関係しています。

特にチワワは以下の3つの皮膚病にかかりやすいです。

  • 犬アトピー性皮膚炎

  • マラセチア性皮膚炎

  • 外耳炎

それぞれについて解説していきますね。

犬アトピー性皮膚炎

犬アトピー性皮膚炎は環境中のハウスダストや花粉などに対するアレルギー疾患であり、皮膚の炎症とかゆみを起こします。
特にチワワは犬アトピー性皮膚炎になると皮脂の分泌が多くなり、被毛がべたべたして毛束になる場合があります。
特に以下の部位の被毛がべたべたする子が多いです。

  • 首周り

  • 脇周り

犬アトピー性皮膚炎の治療はかゆみ止めの内服薬を飲むことが大切です。
かゆみ止めの内服薬によってかゆみと炎症を抑えることで、皮脂の分泌も抑えることができます。
ただ被毛のべたべたが強い場合は、かゆみ止めの内服薬だけでなく多角的な治療をする必要があります。
内服薬だけでなくシャンプーによる洗浄やサプリメントによる体質改善も合わせて行うことが、より健康な皮膚に近づけるために有効です。

マラセチア性皮膚炎

マラセチア性皮膚炎は皮膚の常在菌であるマラセチアが過剰に増えて、皮膚に炎症とかゆみを起こす皮膚病です。
このマラセチアは皮脂をエサにしているため、皮脂の多いチワワの皮膚でも増殖しやすいです。
また、マラセチアはかゆみ物質を分泌してさらに皮膚に炎症を引き起こすため、マラセチアが増えると皮脂の分泌がますます活発になります。
マラセチア性皮膚炎の治療は、シャンプーで皮脂とマラセチアを洗い落とすことが第一です。
基礎疾患として犬アトピー性皮膚炎がある場合は、犬アトピー性皮膚炎の治療も同時に行うことが重要です。

外耳炎

外耳炎は耳の入口から鼓膜の間の外耳道と呼ばれる部分に炎症が起きて、強いかゆみを伴う皮膚病です。
体質の影響で皮脂が出やすいと耳垢がたまりやすいため、外耳道の常在菌であるマラセチアやブドウ球菌が繫殖しやすくなります。
この常在菌が増えすぎると、さらに耳垢が増えてかゆみが出てきます。
そのため外耳炎の治療では、耳垢と菌をきれいに洗浄した上で点耳薬をつけることが重要です。
また、外耳炎は犬アトピー性皮膚炎が基礎疾患となっていることが多く、犬アトピー性皮膚炎に対する治療を同時に行うことも大切です。

シャンプーされるチワワ

自宅で出来るスキンケア

チワワのべたべたしやすい被毛に対して自宅で出来るスキンケアをご紹介します。
皮脂が多く被毛のべたべたが強い場合は、いろいろなアプローチを組み合わせることできれいな毛並みを保つことができます。
ひとつずつ見ていきましょう。

外側からのスキンケア

外側からのスキンケアとして有効なのはシャンプーと保湿です。
皮脂を落とすことに特化したクレンジングシャンプーを用いることで、効果的に皮脂を落とすことができます。
特に皮脂の多い子だと、1ヶ月に2〜4回の定期的なシャンプーが必要なこともあります。

ただ、シャンプーで皮脂を落とすとその分皮膚は乾燥してしまいます。
このため、シャンプー後に保湿をすることで乾燥を防ぐことも大切です。
また、保湿は過剰な皮脂の分泌を抑える効果もあるため、シャンプー後だけでなく日常的に取り入れることも有効です。
犬の保湿に関してはこちらにまとめているのでチェックしてみてください。

犬に保湿は必要?|皮膚トラブルを防ぐ正しい保湿ケアとは

内側からのスキンケア

べたべたのない美しい毛並みを保つためには内側からのスキンケアも有効です。
内側からのスキンケアは、腸活とオメガ3脂肪酸が効果的とされています。
それぞれについて説明していきます。

腸活

腸活は皮脂が出にくい健康的な皮膚を作るうえでとても有効な方法です。
特に犬アトピー性皮膚炎が基礎疾患にある場合は、腸内細菌を改善することでアレルギー反応が起きにくくなることが証明されています。
アレルギー反応が起きにくくなると、皮膚炎が改善されて皮脂の分泌も減っていきます。
腸活は即効性はありませんが、腸活のサプリメントを3か月以上継続することで効果実感が得られることが多いです。

腸活についてはこちらにまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

犬の腸活完全攻略ガイド|腸と皮膚の意外な関係とは

オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸の摂取は、皮脂が出にくい皮膚を作るうえで重要です。
オメガ3脂肪酸は魚の油に含まれるDHAやEPAなどの脂肪酸のことであり、皮膚の炎症を抑える作用があります。
皮膚の炎症が抑えられると皮脂の分泌も減少するため、べたべたの被毛を改善するのに有効だと言えます。
オメガ3脂肪酸を効率的に摂取するには、サプリメントやオメガ3脂肪酸を豊富に取り入れたドッグフードを与えるとよいでしょう。

まとめ

チワワの皮膚は皮脂の分泌が多く、場合によっては被毛がべたべたになることがあります。
べたべたの被毛に対しては、皮膚病の治療と合わせてご家庭でのスキンケアを行うことが大切です。
美しく健康的な被毛のために、今回ご紹介したスキンケアをぜひ実施してみてください。

 


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記事監修者

伊従慶太獣医師

どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)

麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。