犬の膿皮症に抗生物質は必要?|知っておきたい膿皮症と薬剤耐性菌の関係

犬の膿皮症に抗生物質は必要?|知っておきたい膿皮症と薬剤耐性菌の関係

「最近、犬の皮膚が赤くなってかゆがっている」
「犬の毛が抜けて、かさぶたができている」
皆様の愛犬にこのような症状が見られる場合は膿皮症のサインかもしれません。
膿皮症は犬にとってもっとも一般的な皮膚の感染症です。
犬の膿皮症は抗生物質による治療が必要なケースがありますが、安易な抗生物質の使用は薬剤耐性菌を生むリスクがあります。
今回は犬の膿皮症と抗生物質の使用について詳しく解説します。
犬の膿皮症にお悩みの方は、ぜひ最後までお読みいただき、膿皮症治療の参考にしてみてください。

犬の膿皮症とは

こちらを見つめるトイプードル

膿皮症は皮膚に常在している細菌が過剰に増殖することで起こる皮膚の感染症です。
健康な犬の皮膚には外部からの病原菌の侵入を防ぐために、さまざまな種類の細菌がバランスを保って存在しています。
しかし、何らかの原因で常在細菌のバランスが崩れると、特定の細菌が異常増殖し、膿皮症を引き起こします。
犬の膿皮症の代表的な症状は以下の通りです。

  • 皮膚の赤み

  • かゆみ

  • フケ

  • かさぶた

  • 膿疱(膿が溜まった状態)

膿皮症は表在性(皮膚の浅い部分)と深在性(皮膚の深い部分)に分けられ、深在性の場合は治療に時間がかかることがあります。

膿皮症の原因

犬の膿皮症は背景に何らかの疾患が隠れていると発症するリスクが高まります。
膿皮症を引き起こすおもな原因には以下のようなものがあります。

  • アレルギー性皮膚炎(食物アレルギー、犬アトピー性皮膚炎)

  • 寄生虫感染(ノミ、ダニ)

  • ホルモン異常(甲状腺や副腎のトラブル)

  • 免疫機能の低下

  • 不適切なスキンケア

特に、犬アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどのアレルギー疾患を持つ犬は皮膚バリア機能が低下しているため、膿皮症を発症しやすいですね。

膿皮症の治療には抗生物質が必要?

膿皮症の治療では原因や症状の程度に応じて、適切な治療を選択することが重要です。
膿皮症の国際的な治療ガイドラインでは、できる限り抗生物質の全身投与は使わずに、外用療法を優先することが推奨されています。
表在性膿皮症であれば、シャンプーなどの外用療法を活用することで十分に改善することが可能です。

一方で、深在性膿皮症や重症化した膿皮症では、長期間の抗生物質の全身投与が必要になる場合もあります。
抗生物質の全身投与が必要な膿皮症は、膿皮症を引き起こす背景疾患の治療を行うことも大切です。

抗生物質の長期使用で起こる薬剤耐性菌問題とは

思考を巡らす獣医師

抗生物質は膿皮症の治療に有効ですが、長期間または繰り返し使用することで薬剤耐性菌が発生することがあります。
薬剤耐性菌とは抗生物質が効きにくくなった細菌のことです。
薬剤耐性菌が増えると、従来の抗生物質では治療が難しくなり、重症化のリスクが高まる可能性があります。
近年、動物医療の分野でも耐性菌の増加が問題視されており、抗生物質の使用をできる限り減らす取り組みが重要となっています。

抗生物質の使用を減らすための膿皮症へのアプローチ

シーズーを可愛がる飼い主

ここまで解説したように抗生物質の使用は薬剤耐性菌の問題を引き起こすリスクも持ち合わせています。
ここでは、抗生物質の使用を最小限に抑えるための代替アプローチをいくつか紹介します。

シャンプー

植物由来の成分を含むシャンプーは犬の皮膚の環境を整えるために有効です。
例えば、ティーツリーオイルやアロエベラなどの植物成分は抗菌作用や抗炎症作用を持つことで知られています。
これらを日常的に取り入れることで、皮膚のバリア機能を強化し、膿皮症のリスクを低減することができる可能性があります。

栄養管理

犬の皮膚の健康を維持するためには食事も重要です。
特に、オメガ3脂肪酸などの皮膚の健康維持に役立つ成分を積極的に摂取するようにしましょう。
これらの成分はサプリメントを活用することで効率的に摂取することができます。
サプリメントに関しては以下の記事をチェックしてみてください。
犬の皮膚の健康を守るサプリメントとは|犬のサプリメントの成分を解説

保湿

皮膚が乾燥するとバリア機能が低下し、細菌感染のリスクが高まります。
保湿剤を使用することで、皮膚の水分を保持し、バリア機能を強化することができます。
保湿剤の中には抗菌成分が含まれているものもあり、膿皮症対策により効果的です。

腸活

近年の研究では、腸内環境が皮膚の健康に大きな影響を与えることが明らかになってきました。
腸内には免疫細胞の約70%が存在しており、腸内環境が整うことで免疫機能が向上し、細菌感染を防ぐ可能性があります。
具体的な腸活の方法は以下の記事をチェックしてみてください。

犬の腸活完全攻略ガイド|腸と皮膚の意外な関係とは

まとめ

犬の膿皮症を治療する上で、抗生物質の使用は有効な手段の一つです。
しかし、抗生物質の使用には薬剤耐性菌の問題も存在します。
今回紹介した方法を組み合わせることにより、抗生物質の使用を減らしつつ、効果的に膿皮症を管理することができます。
日々のスキンケアに意識を向け、犬の健康と幸せな生活をサポートしていきましょう。


 

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記事監修者

伊従慶太獣医師

どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)

麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。