トイ・プードルに多い皮膚病の種類と原因|自宅でできる皮膚病対策を徹底解説
トイ・プードルは日本でもっとも人気のある犬種の1つです。
トイ・プードルは抜け毛も少なく、友好的な性格から飼育しやすい犬種とされていますね。
しかし、そんなトイ・プードルですが、実は皮膚病にかかることも珍しくありません。
今回はトイ・プードルに特に多い皮膚病とその対策について詳しく解説し、自宅で実践できるケアの方法もご紹介します。
トイプードルの飼い主様はぜひ最後までお読みいただき、愛犬のために皮膚病対策にお役立てください。
トイプードルに皮膚病が多い理由とは
トイ・プードルが皮膚病にかかりやすい理由は、いくつかの要因が影響しています。
ここではトイ・プードルに皮膚病が多い理由を詳しく説明します。
アレルギー体質であることが多い
トイ・プードルはアレルギー体質であることが多い可能性が指摘されています。
アレルギー性皮膚炎を起こした犬は皮膚のバリア機能が低下しやすいことが知られています。
皮膚のバリア機能が低下すると、外部の刺激に敏感なることで、皮膚トラブルを起こしやすいです。
皮脂の分泌が多い
トイ・プードルは水鳥の狩りなどで活躍していたスタンダード・プードルを小型に改良した犬種です。
そのため、トイプードルは皮脂の分泌が多く、水をはじきやすいという特徴があります。
皮膚が脂っぽくなると、皮脂をエサにするマラセチアというカビの仲間が増えやすく、皮膚炎を起こすことがあります。
毛が伸び続ける
トイ・プードルは毛周期のほとんどが成長期で占められているため、毛が抜けずに伸び続けるという特徴があります。
毛が伸びると通気性が悪くなったり、汚れがたまりやすくなり、皮膚トラブルにつながります。
また、トイ・プードルは定期的な毛のお手入れが不可欠で、トリミングをしないと毛玉ができやすいです。
繊細でストレスを感じやすい
トイ・プードルは人懐っこく、他の犬や人間とすぐに仲良くなれる性格です。
一方で、繊細な一面も持っており、環境の変化やストレスに敏感です。
そのため、皮膚のかゆみや炎症を起こすと、ストレスを感じやすく、皮膚トラブルが悪化しやすいとされています。
トイ・プードルに多い皮膚病
トイ・プードルはそのデリケートな皮膚の特性から、さまざまな皮膚病にかかりやすい犬種です。
以下に、トイ・プードルが特に発症しやすい皮膚病の種類とその詳細を解説します。
犬アトピー性皮膚炎
トイ・プードルは犬アトピー性皮膚炎を発症しやすい犬種として知られています。
犬アトピー性皮膚炎は遺伝的要因が関与し、特に3歳までに症状が現れることが多いです。
犬アトピー性皮膚炎は環境中のアレルゲンに対する免疫反応によって引き起こされ、皮膚のバリア機能が低下することでアレルゲンが皮膚に侵入し、かゆみや赤みがみられます。
犬アトピー性皮膚炎は完治が難しいため、症状の管理が治療の中心であり、適切な投薬とスキンケアが大切です。
犬アトピー性皮膚炎の治療では、かゆみを抑えるための内服薬や外用薬を使用しながら、皮膚のバリア機能を強化するスキンケアを行います。
トイ・プードルのアトピー性皮膚炎は適切な管理と治療により、症状を軽減し、犬の生活の質を向上させることが可能です。
脂漏症
脂漏症は皮膚の脂腺から過剰に皮脂が分泌されることによって引き起こされる皮膚病です。
トイ・プードルは皮脂の分泌が多く、脂漏症になりやすいとされています。
脂漏症では皮膚のベタつきやフケの増加が見られ、かゆみを伴うことが多いです。
また、皮脂をエサにして増殖するマラセチアが増えることで独特の臭いや皮膚炎が発生することもあります。
脂漏症の治療では余分な皮脂を取り除き、マラセチアを管理することが大切です。
具体的には
-
シャンプー
-
保湿剤
-
抗炎症薬
-
抗真菌薬
などを使用することが多いですね。
膿皮症
膿皮症は細菌が過剰に増殖することによって引き起こされる皮膚の感染症です。
膿皮症は皮膚のバリア機能が低下すると発症することがあり、
-
犬アトピー性皮膚炎
-
脂漏症
-
ホルモン異常
などが背景にあることが多いです。
つまり、犬アトピー性皮膚炎や脂漏症が多いトイ・プードルは膿皮症にもなりやすいとされていますね。
膿皮症は重症化すると、皮膚の深部に感染が広がることもあるので注意しましょう。
心因性皮膚症
心因性皮膚症はストレスや環境変化が原因で発症する皮膚のトラブルです。
心因性皮膚症では犬が自分の体を過剰に舐めたり、掻いたりする行動がみられます。
トイ・プードルは繊細な性格のため、ストレスを感じやすく、心因性皮膚症を発症しやすい可能性があります。
心因性皮膚症の治療ではストレスの原因を特定して、ストレスを軽減することが大切です。
自宅でできるトイ・プードルの皮膚病対策
トイ・プードルは皮膚病にかかりやすい犬種ですが、飼い主様が自宅でできる対策を実践することで、皮膚病の予防や症状の緩和が可能です。
具体的な対策には
-
シャンプー
-
保湿
-
腸活
-
ストレスケア
などが挙げられます。
ここでは、それぞれの対策について詳しくみていきましょう。
シャンプー
トイ・プードルの被毛は密集しているため、皮膚に汚れがたまりやすいです。
皮膚の汚れを落とすには定期的なシャンプーが効果的です。
シャンプーを実施することで皮膚の汚れだけでなく、余分な皮脂も洗い流すことができます。
ただし、過度なシャンプーは皮脂を奪い、皮膚の乾燥を招くため、月に1〜2回を目安に行いましょう。
保湿
犬アトピー性皮膚炎が多いトイ・プードルの皮膚は非常に敏感で、バリア機能が低下しやすいです。
皮膚のバリア機能を強化するためには保湿が重要です。
シャンプー後やブラッシング後には、保湿クリームやスプレーを使用して皮膚の潤いを保ちましょう。
犬の保湿ケアはこちらに詳しくまとめているので、チェックしてみてください。
腸活
犬の皮膚の健康と腸内環境には密接な関係があることが分かってきています。
腸活によって腸内環境を整えることは皮膚のバリア機能を改善することにつながります。
犬の腸活に有効な成分は以下の通りです。
-
プロバイオティクス
-
プレバイオティクス
-
バイオジェニックス
これらの成分はサプリメントで摂取することがおすすめです。
サプリメントは犬専用で、信頼できるメーカーの製品を選びましょう。
犬の腸活については、以下の記事で詳しく解説しています。
ストレスケア
トイ・プードルは繊細な性格のため、ストレスを感じやすく、心因性皮膚症を起こすことがあります。
心因性皮膚症を防ぐにはストレス対策が重要です。
例えば、毎日の散歩や遊びを通じて、適度な運動をさせることがストレス発散につながります。
また、犬が安心して過ごせるように静かな場所や自分のスペースを確保し、リラックスできるようにしましょう。
まとめ
トイ・プードルは人気の高い犬種ですが、今回解説したように皮膚トラブルを起こしやすいです。
飼い主様が自宅でできる対策を行うことで、愛犬の皮膚病を予防できることがあります。
スキンケアや腸活を行い、愛犬の皮膚の健康を守りましょう。
この記事が、トイ・プードルの飼い主様の役に立つことを願っています。

どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)
麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。