犬の皮膚のシワにできる皮膚炎とは|シワに隠れた皮膚炎の予防方法を解説
「犬の皮膚のシワの間が赤くただれている」
「犬のシワの間から悪臭がする」
このようなお悩みを持つ犬の飼い主様は多いと思います。
犬のシワは皮膚炎が起こりやすい部位であり、放っておくと慢性化や悪化のリスクが高いです。
今回は犬の皮膚のシワにできる皮膚炎について解説し、その予防方法をお伝えします。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の皮膚の健康を守りましょう。
犬のシワにできる皮膚炎とは
犬のシワにできる皮膚炎は「皺壁(すうへき)性皮膚炎」とも呼ばれ、皮膚のシワやたるみがあるところにみられます。
皮膚のシワやたるみの部分は皮膚が重なり合っているため、通気性が悪く、湿気がこもりやすいです。
また、唾液や皮脂などの汚れがたまりやすいため、細菌やマラセチアなどが増え、炎症を引き起こします。
皺壁性皮膚炎は初期段階では赤みやかゆみなどの症状が現れますが、シワの間で起きているため、気がつかないことも多いです。
さらに進行すると、ジュクジュクと湿った湿疹やかさぶたが形成され、悪臭がしてくることもあります。
皺壁性皮膚炎は
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顔まわり
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首まわり
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尾の付け根
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脇の下
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足の付け根
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外陰部
などのシワが多い部位に症状が出やすいので注意しましょう。
皮膚のシワが多い犬種は?
犬のシワにできる皮膚炎は
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フレンチ・ブルドッグ
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パグ
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ボストン・テリア
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ブルドッグ
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シー・ズー
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ペキニーズ
などの短頭種で多いとされています。
これらの犬種は鼻が短く、頭が丸みを帯びているため、目や鼻周りを中心にシワが多いです。
顔周りのシワには唾液や食べ物、涙などがたまりやすく、汚れることが多いので注意しましょう。
これらの犬種ではシワになっている部分をこまめにチェックすることが大切です。
犬のシワにできる皮膚炎の治療
犬のシワに皮膚炎を見つけた場合はすみやかに動物病院を受診しましょう。
動物病院では、犬の状態に合わせて
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抗炎症薬
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抗生物質
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抗真菌薬
などの外用薬や内服薬を組み合わせて治療を行います。
犬のシワにできる皮膚炎はこのような治療でまずは状態の改善を目指し、その後は再発を予防するためのケアを行うことが重要です。
シワにできる皮膚炎の予防方法
犬のシワにできる皮膚炎は適切な治療を行っても、日常的なケアをしないと再発することが多いです。
予防には以下のような対策が有効です。
定期的に拭き取る
皮膚炎を防ぐために、シワの部分は常に清潔に保つことが重要です。
シワの間を優しく拭き取り、汚れや皮脂を取り除きましょう。
きれいに拭いた後は、湿気がたまらないようにしっかりと乾燥させることも大切です。
シャンプーをする
細菌やマラセチアの感染がみられる場合はシャンプーも合わせて行うと効果的です。
顔周りやデリケートな部分のシワに対するシャンプーは獣医師に相談し、皮膚の状態に合ったシャンプーを使用しましょう。
犬のシャンプーは洗浄作用の強いものは避け、低刺激のものを選ぶことが推奨されています。
保湿をする
犬は皮膚炎を起こしていると、皮膚のバリア機能が低下し、細菌感染などが悪化しやすいです。
保湿を行うことで皮膚のバリア機能を強化し、細菌感染や皮膚炎のリスクを低減できます。
保湿剤にはスプレータイプやクリームタイプなどさまざまな種類のものがあるので、愛犬にあったものを選びましょう。
犬の保湿に関しては以下の記事で詳しくまとめているのでチェックしてみてください。
まとめ
今回は犬のシワにできる皮膚炎について解説しました。
シワの間の皮膚炎は気がつきにくいですが、日頃のケアで予防することができます。
愛犬のために今回ご紹介した内容を参考にして、毎日のケアに取り入れてみてください。
飼い主様のちょっとした心掛けが、愛犬の皮膚を守る第一歩になります。

どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)
麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。