犬の外耳炎にはプロアクティブ療法が有効!|犬の外耳炎の再発予防とおうちケアを獣医師が解説

犬の外耳炎は非常に多い病気であり、動物病院でよく相談されるトラブルのひとつです。
犬の外耳炎は一度治療してよくなっても、しばらくして再発してしまうことも多いです。
このため犬の外耳炎の再発を防ぐためには適切な治療と継続的なケアを必要とします。
じつは近年外耳炎のケアとして注目されているプロアクティブ療法という方法があります。
今回は犬の外耳炎の原因と治療、そしてプロアクティブ療法について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の外耳炎に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

耳をかいているポメラニアン

犬の外耳炎とは

犬の外耳炎とは耳の入り口から鼓膜までの外耳道に炎症が起きる病気のことです。
外耳道に炎症が起きると以下の症状が現れます。

  • 耳をかく

  • 頭を振る

  • 耳が赤い

  • 耳がにおう

  • 耳垢が多い

これらの症状は犬にとって強い不快感を与えるため、早期に治療することが望ましいです。
また多くの場合外耳炎の耳道には赤みと耳垢の蓄積が認められます。
耳垢を顕微鏡で観察すると、ブドウ球菌やマラセチアなどの常在菌の増殖が認められます。

犬の外耳炎の原因

犬の外耳炎はさまざまな原因によって発生します。
犬の外耳炎の原因として代表的なものは以下です。

  • 犬アトピー性皮膚炎

  • 食物アレルギー

  • 内分泌疾患

  • 自己免疫性疾患

  • 異物

  • 寄生虫

他にも原因はありますが、外耳炎の約85%は犬アトピー性皮膚炎が原因といわれています。

犬アトピー性皮膚炎と外耳炎

犬アトピー性皮膚炎は環境アレルゲンに反応して外耳炎や皮膚炎が起きる病気です。
犬アトピー性皮膚炎は完治せず、生涯にわたりかゆみ止めなどによる管理が必要です。
外耳炎が一度治ってもすぐに再発する場合は、犬アトピー性皮膚炎が原因となっているかもしれません。

犬の外耳炎が起こりやすくなる要素

上記の原因に加えて、外耳炎が起こりやすくなる要素としては以下が挙げられます。

要素

耳の構造

多すぎる耳毛、垂れ耳など

多湿

水泳、夏の高温多湿など

閉塞性病変

ポリープ、腫瘍など

不適切な耳掃除

不適切な洗浄液、綿棒による傷など

これらの要素が重なると耳道に常在菌が増殖して外耳炎が起こりやすくなります。
したがって外耳炎を繰り返す犬では原因の治療と、外耳炎が起こりやすくなる要因への対策が必要です。

犬の外耳炎の治療

犬の外耳炎の治療は炎症を取り除き、増殖している菌や耳垢を洗浄することが大切です。
基本的な外耳炎の治療は大まかに次の流れで行います。

  1. 耳の洗浄

  2. 点耳薬による治療

  3. 原因となる病気の治療

耳の洗浄

外耳炎治療の最初のステップは耳の洗浄です。
耳の中の耳垢を除去することで、点耳薬の効果が発揮されやすい環境を作ります。
自宅での耳洗浄は耳道を傷つけることもあるため、まず獣医師に洗浄してもらいましょう。

点耳薬による治療

洗浄の後は抗炎症成分や抗菌薬などが配合された点耳薬を投与します。
点耳薬は耳の炎症を抑え、増殖した細菌やマラセチアを殺菌するために重要です。
外耳炎が治るまでは、指定の期間(およそ1-2週間)の点耳薬を続けることが大切です。

原因となる病気の治療

洗浄や点耳と並行して、外耳炎の原因の治療をすることも大切です。
とくに犬アトピー性皮膚炎が原因である場合は継続的な耳のケアが必要になります。

犬の外耳炎のプロアクティブ療法

犬の外耳炎のプロアクティブ療法は、外耳炎の再発を防ぐための予防的な点耳療法です。
プロアクティブ療法では、耳の炎症が治った後に週1~2回の頻度で点耳を継続します。
これにより外耳道の炎症を起こる前に防ぐことができ、外耳炎を予防することができます。

この際に用いる点耳薬は抗炎症作用のある点耳薬であり、抗菌薬は必要ありません。
じつは抗菌薬は長期間使い続けると、耐性菌が発生して効きにくくなることがあります。
一方で抗炎症薬のみの点耳であれば薬剤耐性菌は生じません。
また抗炎症薬も開発が進み、副作用も週1〜2回の頻度ではほとんど起きないと言われています。
このためプロアクティブ療法は持続可能性の高い治療法であると言えます。

耳を撫でられているフレンチブルドッグ

プロアクティブ療法と併せて行いたいケア

プロアクティブ療法を効果的にするためには、自宅でのケアも併せて行うことが重要です。
家庭で耳のために行うのにおすすめのケアは次の3つです。

  • 腸活

  • エリスリトール

  • 耳を触り過ぎないこと

それぞれについて解説します。

腸活

腸活は外耳炎の再発を予防する上で有効です。
腸内環境が整うと免疫のバランスが改善し、アレルギー反応が起きにくくなります。
外耳炎の多くは犬アトピー性皮膚炎が原因であるため、腸活を続けることで外耳炎の再発を防ぐ効果が期待できます。
腸活についてはこちらもチェックしてみてください。

犬の腸活完全攻略ガイド|腸と皮膚の意外な関係とは

エリスリトール

エリスリトールは外耳炎の再発防止に有用な成分です。
外耳炎では耳道内のブドウ球菌やマラセチアなどの常在菌のバランスが乱れています。
エリスリトールは耳の常在菌に対して静菌的に作用し、耳の中の菌のバランスを整えるのに役立ちます。
エリスリトールについてはこちらも読んでみてください。

犬の外耳炎にはエリスリトールが有効?|繰り返す犬の外耳炎を予防するエリスリトールの効果を獣医師が解説!

耳を触り過ぎないこと

耳を触り過ぎないことは外耳炎の再発を防ぐうえで重要です。
愛犬が外耳炎になりやすいと、悪くならないように耳を掃除したくなりますよね。
じつは耳掃除をすることで耳道を傷つけて外耳炎を起こしてしまうこともあります。
トリミングでの耳毛抜きや掃除も刺激になってしまう場合があり、注意が必要です。

まとめ

犬の外耳炎は再発しやすい病気ですが、原因に対する治療で安定することも多いです。
特にプロアクティブ療法は犬アトピー性皮膚炎による外耳炎の再発を防ぐ効果があります。
プロアクティブ療法では週1~2回の点耳で外耳炎を予防することが可能です。
また腸活やエリスリトールなどのケアも耳の健康を守るうえで有効です。
今回の記事を参考に愛犬の耳の健康を保つのに役立ててみてください。


 

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記事監修者

伊従慶太獣医師

どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)

麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。