犬の体に白い粉のようなフケがついていることに気がついたことはありませんか?
「うちの犬は定期的にシャンプーをしているのに、すぐにフケが出る」
このような飼い主様も多いでしょう。
犬のフケは一時的な乾燥でも見られますが、皮膚病が関係していることもあります。
今回は犬のフケが増える原因とおうちでのケアについてわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の健康な皮膚のために役立ててください。
そもそも犬のフケって何?
犬のフケとは、皮膚の表面から剥がれ落ちた角質のことです。
犬の皮膚ではターンオーバーという新陳代謝が行われ、常に皮膚が新しくなっています。
じつは健康な状態でも古くなった角質は目立たない量で自然に脱落しています。
このターンオーバーが皮膚病で早くなると角質の脱落が増え、フケが目立つわけです。
反対にターンオーバーが遅くなると乾燥した角質が蓄積して、皮膚がカサカサしてきます。
フケが増える背景にはこのようなターンオーバーの乱れがあります。
また皮脂の分泌もフケと関係していることが多いです。
皮脂の分泌が増えるような皮膚病があると、皮膚の常在菌が増えて炎症を起こします。
これによりターンオーバーが早くなり、べたべたしたフケが目立つようになります。
犬のフケが増える皮膚病
犬のフケが増える背景には皮膚病があることが多いです。
犬のフケが増える皮膚病としてよく見られるのは大きく分けて以下の3つです。
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アレルギー性疾患
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感染症
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内分泌疾患
それぞれについて見ていきましょう。
アレルギー性疾患
アレルギー性疾患は犬のフケが増える原因としてよく見られる病気です。
犬ではとくに以下の2つが代表的です。
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犬アトピー性皮膚炎
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食物アレルギー
犬アトピー性皮膚炎
犬アトピー性皮膚炎は、犬のフケが増える原因として非常に多い皮膚病です。
犬アトピー性皮膚炎は環境アレルゲンに反応して皮膚に炎症やかゆみを起こす病気です。
この病気は皮膚のバリア機能を低下させ、皮膚が乾燥しやすくなることも知られています。
皮膚が乾燥するとターンオーバーが速くなって、角質が剥がれやすくなります。
食物アレルギー
食物アレルギーは食物に含まれるタンパク質に過敏反応を起こす病気です。
食物アレルギーではフードやおやつの原料に反応して皮膚が炎症を起こします。
皮膚が炎症を起こすとターンオーバーが早くなるため、フケが増えていきます。
感染症
犬のフケが増える感染症は以下の3つが頻繁に見られます。
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マラセチア皮膚炎
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膿皮症
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寄生虫疾患
マラセチア皮膚炎
マラセチア性皮膚炎は皮膚の常在菌であるマラセチアが増殖して起きる皮膚病です。
マラセチアは皮脂をエサにして増殖し、皮膚に炎症とかゆみを起こします。
またマラセチアは皮脂の分泌を促すため、べたべたしたフケが多量に見られます。
膿皮症
膿皮症は皮膚の常在菌であるブドウ球菌が毛穴で過剰に増えて起きる皮膚病です。
ブドウ球菌が毛穴に増殖するとかさぶたを伴う湿疹が見られる事が多いです。
このかさぶたが細かくなって毛に付着すると、フケとして目立つようになります。
内分泌疾患
内分泌疾患は犬のフケが増えている場合に考慮すべき病気です。
犬でフケが多くなることがある内分泌疾患は以下の2つです。
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甲状腺機能低下症
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クッシング症候群
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です。
甲状腺ホルモンが減ると全身の代謝が落ちて、皮膚のターンオーバーも遅くなります。
また皮脂の分泌も低下するため、皮膚が乾燥してカサカサするようになります。
これにより古くなった角質が蓄積して、フケとして目立つことが多いです。
クッシング症候群
クッシング症候群は副腎から出るステロイドホルモンが過剰になる病気です。
ステロイドホルモンが増えると皮膚がうすくなります。
皮膚がうすいとターンオーバーが短くなり、フケも出やすくなります。
犬のフケに対するおうちケア
犬のフケに対するおうちケアは皮膚バリアの強化をすることが有効です。
まずは動物病院で診察を受けて、フケの原因の診断と治療を受けることが重要です。
そのうえで以下の3つのケアも取り入れるとよいでしょう。
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保湿
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適切なシャンプー頻度
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腸活
保湿
保湿は犬のフケを減らすために欠かせないスキンケアです。
皮膚が乾燥すると角質がもろくなり、フケとして脱落しやすくなります。
被毛の少ない部位や乾燥しやすい季節は、1日2回以上の保湿を行うとよいでしょう。
保湿についてはこちらも読んでみてください。
適切なシャンプー頻度
適切なシャンプー頻度を守ることはフケ対策として重要です。
シャンプーのしすぎは皮脂を過剰に除去し、皮膚の乾燥とフケを悪化させてしまいます。
皮膚を乾燥させ過ぎないためには、基本的には週1回までのシャンプーが目安となります。
ただし皮膚病がある場合は、獣医師の指示に従って頻度を調整しましょう。
適切なシャンプーについてはこちらもチェックしてみてください。
犬のシャンプーのやりすぎは逆効果?|犬の正しいシャンプーを獣医師が解説
腸活
腸活は犬のフケ対策として体質改善の観点から重要なケアです。
腸内環境が乱れると免疫バランスが崩れ、皮膚の炎症が起こりやすくなります。
実際に犬アトピー性皮膚炎では腸内環境の乱れが関与していることが知られています。
腸活はすぐに効果が出るわけではないため、3ヶ月以上続けることが大切です。
腸活についてはこちらも読んでみてください。
まとめ
犬のフケは皮膚のターンオーバーや皮脂分泌の乱れによって増えます。アレルギー性疾患や感染症、内分泌疾患が背景にあることも少なくありません。
フケは皮膚からの重要なサインであり、放置せず原因を見極めることが大切です。
適切な治療とおうちケアを組み合わせて、愛犬の皮膚を健康に保ちましょう。
どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)
麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。

