犬の健康的な皮膚のために|ビタミンCの役割と実践的なスキンケア
「最近、愛犬の毛並みが悪くなってきた気がする」
「犬の抜け毛が増えてきた」
愛犬のちょっとした変化は飼い主様にとって心配なものです。
このような変化はもしかしたら皮膚の老化が始まっているサインかもしれません。
加齢や紫外線などの影響で犬の皮膚も私たち人間と同じように老化していきます。
そこで注目したいのが「ビタミンC」です。
今回は皮膚の健康維持に役立つビタミンCについて詳しく解説し、具体的なスキンケア方法をお伝えします。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の皮膚の健康維持にお役立てください。
犬の皮膚も老化する?
犬も人と同様に加齢に伴って、皮膚の老化が進行してきます。
老化に伴って見られることが多い皮膚の変化には、
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弾力性が低下してたるみが出てくる
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皮脂の分泌が減少し、皮膚が乾燥しやすくなる
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被毛が薄くなる
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皮膚にイボができやすくなる
などがありますね。
これらの変化は老化による自然なプロセスですが、早めに対策を行うことで老化の進行を遅らせることができます。
皮膚の健康を支えるビタミンC
ビタミンCは人間でも皮膚の健康によいとされ、スキンケア製品に広く使用されています。
ここではビタミンCの皮膚に対する効果を詳しく解説していきます。
抗酸化作用
紫外線やストレスによって発生する活性酸素は皮膚の細胞を傷つけ、老化を促進させる原因になります。
ビタミンCは、この活性酸素を除去する抗酸化作用に優れており、皮膚の老化を防ぐことができます。
犬も人と同様に、紫外線によるダメージで皮膚トラブルが起こることがあるので注意が必要です。
特に被毛が薄い犬や、白い犬は紫外線のダメージを受けやすいとされています。
コラーゲン生成促進作用
コラーゲンは皮膚を構成する成分で、皮膚に弾力やハリを与える役割を担っています。
ビタミンCは、このコラーゲンの生成を促進する働きがあります。
犬の健康な被毛と皮膚の維持にも、コラーゲンの存在は欠かせません。
ターンオーバーの正常化
皮膚は、古い細胞が新しい細胞に生まれ変わる「ターンオーバー」を繰り返すことで健康な状態を保っています。
犬の皮膚のターンオーバーは約21日周期ですが、さまざまな原因でターンオーバーが乱れることがあります。
皮膚のターンオーバーが乱れると、フケが出たり、皮脂が過剰になり脂っぽくなるなどのトラブルが出るので注意しましょう。
ビタミンCはターンオーバーを正常化する効果も期待でき、皮膚の健康を維持するために重要です。
ビタミンCを皮膚に直接塗布するメリット
ビタミンCは経口摂取だけでなく、皮膚に直接塗布することでより効果を得やすいとされています。
外用ビタミンCは皮膚の表皮に直接作用するため、即効性があり、特に問題のある部分に有効です。
ビタミンCを効率的に犬のスキンケアに取り入れるためには、ローションやスプレー形式の製品を使用することが推奨されます。
これらを用いて日常的にマッサージを行うことで、皮膚の健康を保つことができますね。
また、犬のスキンケアは一時的なものでなく、日常のルーティーンとして継続的に行うことが重要です。
散歩後や食事後など、決まったタイミングでスキンケアを行い、習慣づけていきましょう。
ビタミンCを含む製品の選び方
ビタミンCを含む犬用のスキンケア製品を選ぶ際は安全性が高い製品を選ぶようにしましょう。
具体的には、以下のポイントを参考に製品選びを行うことをおすすめします。
犬用の製品
人間用の製品は香料やアルコールなど、犬にとって刺激が強すぎる成分が含まれている可能性もあります。
犬の皮膚は人間より薄く、pH値も異なるため、必ず犬用として販売されている製品を選びましょう。
犬用の製品は安全かつ効果的なスキンケアを行うことができます。
低刺激の製品
添加物や香料などが含まれていると、皮膚に刺激を与えてしまい、かゆみや赤みなどの皮膚トラブルを引き起こすことがあります。
敏感肌の犬にも安心して使用できるよう、低刺激性の製品を選びましょう。
特に、無香料や無着色料の製品が推奨されます。
パッチテストを行ってから使用を開始することで、より安全に使用できますね。
信頼できるメーカーの製品
製品によって、配合されているビタミンCの濃度や品質は異なります。
信頼できるメーカーの製品を選ぶことは、安全性や効果の面で重要です。
品質管理がしっかりとしているか、獣医師の監修を受けているかなどを参考にしましょう。
また、口コミや評判を調べることも参考になります。
まとめ
今回は、犬の皮膚とビタミンCの関係性について解説しました。
ビタミンCを活用した外用ケアは、犬の皮膚の健康を維持するための強力な手段です。
正しい方法で利用することで、長期的に健康な肌を維持することができます。
ぜひ、愛犬のスキンケアに、ビタミンCを取り入れてみてはいかがでしょうか?
記事監修者
どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)
麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。