犬の皮膚の健康によいバイオジェニックスとは|バイオジェニックスの働き
「愛犬がいつもどこかをかゆがっている」
「動物病院で薬をもらっても、なかなか皮膚の状態がよくならない」
このように愛犬の皮膚の健康に不安を感じている飼い主様も多いのではないでしょうか。
近年、皮膚の健康を改善するアプローチとして「バイオジェニックス」が注目されています。
今回はプロバイオティクスの進化版とも呼ばれるバイオジェニックスとはどんなものかを詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の皮膚の健康維持にバイオジェニックスを取り入れてみましょう。
バイオジェニックスとは
バイオジェニックスは腸活において注目されており、乳酸菌が生成する代謝産物や菌体成分のことを指します。
これらのバイオジェニックスは腸内の免疫細胞を刺激し、体全体の機能を活性化させる効果があります。
バイオジェニックスは腸内フローラのバランスを改善するだけでなく、直接的に生体に働きかけることが特徴です。
バイオジェニックスとプロバイオティクスとの違いは?
具体的には乳酸菌やビフィズス菌などが含まれます。
プロバイオティクスは腸内の善玉菌を補うことで、消化や免疫機能をサポートしますね。
ここではバイオジェニックスとプロバイオティクスにはどのような違いがあるのかを解説していきます。
作用経路の違い
プロバイオティクスは生きた微生物であり、腸内に生きた状態で到達することで作用する善玉菌です。
プロバイオティクスは悪玉菌の増殖を抑え、腸内フローラを整えることで、間接的に体の免疫機能を調整します。
一方で、バイオジェニックスは腸内フローラを介さずに直接腸管に作用し、免疫細胞を刺激します。
バイオジェニックスの方が、より効率的に免疫細胞に働きかけることが可能です。
胃酸に対する安定性の違い
プロバイオティクスは生きた微生物であるため、胃酸の影響を受けることがあり、その生存が腸内での効果に直結します。
一方で、バイオジェニックスは死菌や菌体成分のため、胃酸の影響を受けにくいです。
バイオジェニックスは腸内に到達する際に生きた菌が必要ないため、胃酸による影響を受けずに安定した状態で腸に到達することが可能です。
効果発現時間の違い
プロバイオティクスは腸内フローラのバランスを改善することを目的としています。
腸内フローラのバランスが改善するまでには時間がかかるので、プロバイオティクスの効果が見られるまで数週間から数ヶ月かかることが一般的です。
一方で、バイオジェニックスは腸内フローラを介さずに直接腸管に作用するため、比較的早く効果を発揮することができます。
皮膚に対するバイオジェニックスの働き
犬の皮膚は、体を外部の刺激から守る重要な役割を果たします。
しかし、さまざまな要因によって皮膚トラブルが発生することがあります。
ここで、バイオジェニックスがどのように犬の皮膚健康に貢献するのかを見ていきましょう。
免疫機能の向上
腸は体の免疫を支える大きな役割を果たし、免疫を担当する細胞の約70%が存在するとされます。
この腸の活動を支えるのは腸内フローラであり、バイオジェニックスは腸内フローラのバランスを整えることで、腸の免疫細胞を活性化します。
バイオジェニックスによって腸内環境が整うことで、全身の炎症が軽減され、皮膚の健康にも役立ちますね。
皮膚の炎症抑制
バイオジェニックスは炎症を抑える作用も期待されています。
乳酸菌の生産物質や死菌体は、体内の炎症を軽減する働きを持つ成分を含んでいることが多いです。
これらの成分が体内に取り入れられることで、さまざまな皮膚トラブルの改善に役立つと考えられています。
アレルギー症状の緩和
アレルギー性皮膚疾患は、多くの犬が苦しむ問題の一つです。
アレルギー性皮膚炎などのアレルギー症状は、免疫システムの過剰な反応によって引き起こされます。
バイオジェニックスは腸内環境を整えることで、免疫システムのバランスを調整し、アレルギー症状の緩和に役立つ可能性があります。
栄養素の吸収促進
健康な皮膚や被毛を維持するためには、十分な栄養補給が不可欠です。
バイオジェニックスは腸内の栄養素の吸収を助けるため、皮膚に必要な栄養素が効率よく供給することができます。
皮膚や被毛の健康維持にバイオジェニックスを取り入れてみましょう。
バイオジェニックスの効果的な摂取方法
バイオジェニックスはサプリメントで摂取するのが一般的です。
サプリメントは犬の食事に簡単に加えることができ、毎日継続して摂取できます。
バイオジェニックスは特に、
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慢性的な皮膚トラブルを抱えている犬
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アレルギー症状がある犬
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腸内環境を改善したい犬
などにおすすめです。
サプリメントは製品によって含まれる成分や量が異なるため、愛犬に合ったものを選ぶようにしましょう。
まとめ
バイオジェニックスは犬の皮膚の健康を守るアプローチとして、今後ますます注目されることが期待されます。
もし愛犬が皮膚トラブルに悩んでいるのであれば、一度バイオジェニックスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
犬の健康を考える上で、バイオジェニックスを含むサプリメントの導入は有効な手段となるでしょう。
記事監修者

どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)
麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。