犬の外耳炎が治らない?|外耳炎の原因と腸活サプリメントによる対策を解説
「犬がまた耳をかゆがっている」
「動物病院で治療してもらっているけど、すぐに外耳炎が再発してしまう」
このように愛犬の外耳炎にお悩みの飼い主様も多いのではないでしょうか。
実は、繰り返す外耳炎の背景にはアレルギーが隠れていることが少なくありません。
今回は犬の外耳炎の原因や、外耳炎に対する腸活サプリメントを用いたアプローチを詳しく解説します。
愛犬の外耳炎にお悩みの飼い主様は、ぜひ最後までお読みいただき、耳の健康を守りましょう。
犬の外耳炎とは
外耳道は耳の入り口から鼓膜までの部分を指し、ここに炎症が生じることを外耳炎と言います。
犬の外耳炎では、
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耳をかゆがる
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耳が赤く腫れる
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耳から異臭がする
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耳垢が増える
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耳を触られるのを嫌がる
などの症状が見られることが多いですね。
特に、垂れ耳の犬や耳の毛が多い犬は外耳炎になりやすいとされています。
外耳炎を放置すると、中耳炎や内耳炎に進行する可能性があるので注意が必要です。
外耳炎の原因
外耳炎の病態に関与する因子は、
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主因
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副因
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増悪因
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素因
という4つのカテゴリーからなります。
中でも、犬が外耳炎を繰り返している場合は主因の特定が重要です。
主因とはそれだけで外耳炎の原因となり得る因子で、外耳炎を治療するうえではもっともアプローチが必要とされています。
繰り返す外耳炎の主因はアレルギーが多い?
犬が外耳炎を繰り返している場合には主因の特定が不可欠です。
日常的に認められることの多い外耳炎の主因には以下のようなものがあります。
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アレルギー性皮膚炎(犬アトピー性皮膚炎、食物アレルギー)
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脂漏症
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内分泌疾患(ホルモンの異常)
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異物の侵入(植物など)
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耳ダニの感染
この中でもアレルギー性皮膚炎が主因になっていることが多く、繰り返す外耳炎の約75%が犬アトピー性皮膚炎に関連していたという報告もあります。
アレルギー性皮膚炎であっても、初期段階では皮膚の症状はなく、外耳炎だけが見られることもあるので注意しましょう。
犬の外耳炎は原因を理解し、適切な治療と管理を行うことで、再発を防ぐことが可能です。
アレルギー性皮膚炎の管理で外耳炎が改善することも
犬の外耳炎がアレルギー性皮膚炎によって引き起こされている場合は、アレルギー性皮膚炎の管理が外耳炎の改善に重要な役割を果たします。
アレルギー性皮膚炎は生涯にわたる治療が必要となることが少なくありません。
外耳炎の症状を抑えるには耳の洗浄など適切なケアを行いながら、以下のようなアレルギー性皮膚炎の管理を行うことが大切です。
薬物療法
薬物療法は皮膚や耳の炎症やかゆみを抑えることが目的です。
急性のかゆみや炎症に対してはステロイド剤が効果を発揮しますが、長期使用で副作用が見られることがあるので注意が必要です。
最近では、特定のかゆみの反応を抑えるための抗体医薬が開発されており、従来の治療法に比べて副作用が少ないとされています。
環境管理
犬アレルギー性皮膚炎は花粉やハウスダストなどの環境中のアレルゲンに対する過剰な免疫反応によって起こります。
少しでも環境中のアレルゲンを減少させるために、定期的な掃除や空気清浄機の使用が推奨されます。
食物アレルギーが疑われる場合は、アレルゲンを含まない食事を与えることが大切です。
外耳炎に腸活サプリメントがよい?
アレルギー性皮膚炎の犬では腸内フローラの多様性の低下が確認されています。
腸内環境が悪化していると、アレルゲンに対する免疫反応が過敏になりやすいと考えられています。
このような腸内環境の変化が、アレルギー性皮膚炎の症状を悪化させ、外耳炎を起こしやすくなる可能性があるので注意が必要です。
そこで、アレルギー性皮膚炎が背景にあり、外耳炎を繰り返す犬は腸活サプリメントがおすすめです。
プロバイオティクスやプレバイオティクスなどの腸活サプリメントは腸内の善玉菌を増やし、腸内フローラを整える働きがあります。
腸内の善玉菌が増えることで、皮膚のバリア機能が強化され、アレルギー反応を軽減する可能性があります。
例えば、パラカゼイ菌などの乳酸菌が皮膚の健康をサポートし、犬アトピー性皮膚炎の症状を軽減する効果があるとされていますね。
腸活サプリメントで腸内環境を整えることでアトピー性皮膚炎の症状を軽減し、さらには外耳炎の改善も期待できます。
まとめ
犬の外耳炎は単純な耳の炎症ではなく、犬アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患が背景にあることが多いです。
腸活サプリメントを適切に使用することで、犬の免疫システムをサポートし、アレルギー症状を緩和することが可能ですね。
アレルギー性皮膚炎のよる外耳炎は完治は難しいことが多いですが、適切な対策を講じることで、犬の生活の量を向上させることができます。
愛犬の外耳炎にお悩みの飼い主様は、腸活サプリメントをお試しください。
記事監修者

どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)
麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。