愛犬のドーベルマンの毛が薄くなってきたことが気になったことはありませんか。
「うちのドーベルマンの毛が最近少なくなってきた気がする」
このように感じて、心配されている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
ドーベルマンは、引き締まった筋肉質な体と、賢く忠実な性格で人気の犬種です。
一方で、ドーベルマンは皮膚病によって脱毛が見られることもあります。
今回はドーベルマンの皮膚の特徴と、脱毛を起こす皮膚病、そしておうちでできるケアについて解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬のドーベルマンの脱毛が気になったときにお役立てください。
ドーベルマンの皮膚の特徴
ドーベルマンの皮膚には、皮膚病とかかわる以下のような特徴があります。
-
ブルーやフォーンなどの毛色がある
-
皮膚のバリア機能低下が起こる可能性がある
ひとつずつ見ていきましょう。
ブルーやフォーンなどの毛色がある
ドーベルマンには、黒や茶のほかに、ブルーやフォーンと呼ばれる薄い毛色の個体もいます。
毛色は被毛をつくる仕組みと関係しているため、毛色によって被毛の性質が異なることがあります。
薄い毛色の個体は、被毛の状態をふだんから観察しておくと安心です。
皮膚のバリア機能低下
ドーベルマンで皮膚トラブルを認めるケースでは、皮膚のバリア機能異常が認められることが少なくありません。
皮膚のバリア機能とは、外からの刺激や細菌の侵入を防ぐ皮膚表面の仕組みで、低下すると皮膚が乾燥しやすく、細菌の感染も起こりやすくなります。
ドーベルマンの皮膚に脱毛を起こす皮膚病
ドーベルマンの皮膚に脱毛を起こす病気には、主に以下の4つが挙げられます。
-
淡色被毛脱毛症(たんしょくひもうだつもうしょう)
-
甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)
-
細菌性毛包炎(さいきんせいもうほうえん)
-
ニキビダニ症
ひとつずつ見ていきましょう。
淡色被毛脱毛症
淡色被毛脱毛症は、毛色を薄める遺伝子が関係して脱毛が起こる、遺伝性の皮膚病です。
この病気は、ブルーやフォーンのドーベルマンに見られ、メラニン色素が毛の中で不均一に集まることで起こります。
淡色被毛脱毛症は、生後6か月以降に発症することが多く、背中を中心とした被毛が少しずつ薄くなっていきます。
根本的な治療法はなく、二次感染の予防や低刺激なシャンプーによる毛包ケアなどのスキンケアで、皮膚の状態を保つことが治療の中心です。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの不足によって脱毛が起こるホルモンの病気です。
この病気では、かゆみのない左右対称の脱毛が胴体やしっぽに見られやすいのが特徴です。
脱毛に加え、元気がない、体重が増えるなどの変化を伴うこともあります。
甲状腺機能低下症は血液検査で診断され、甲状腺ホルモン剤の内服を生涯続ける治療が基本です。
皮膚症状の改善には2〜3か月かかるといわれています。
細菌性毛包炎
細菌性毛包炎は、皮膚の常在菌であるブドウ球菌が増えすぎて、被毛をつくる毛包という部分に炎症が起こる皮膚病です。
この病気は膿皮症(のうひしょう)の一種で、被毛の短いドーベルマンでは虫食い状の脱毛が見られることがあります。
細菌性毛包炎の治療は、薬用シャンプーによる外用のスキンケアや外用薬でブドウ球菌を殺菌することが中心です。
感染が落ち着けば、脱毛部の被毛は再び生えてくることがほとんどです。
ニキビダニ症
ニキビダニ症は、毛包にすむニキビダニが増えすぎて、細菌性毛包炎の原因の一つにもなる皮膚病です。
ニキビダニは健康な犬の毛包にもすむダニですが、若い犬などで増えすぎると、脱毛やかさぶたが見られることがあります。
ニキビダニは、皮膚の表面をこすり取って顕微鏡で調べる皮膚掻爬物鏡検(ひふそうはぶつきょうけん)や毛検査で検出されます。
犬の皮膚にニキビダニがいる場合は、獣医師が選ぶ駆虫薬による治療が必要です。
あわせて、毛穴の汚れを落とすクレンジングシャンプーや入浴を組み合わせることもあります。
ドーベルマンの皮膚の健康を保つ自宅でのケア
ドーベルマンの皮膚を良い状態に保つためには、動物病院での検査や治療を基本としながら、治療の効果を支える自宅でのケアが重要です。
以下のようなケアを取り入れるとよいでしょう。
-
エリスリトール
-
保湿
-
寄生虫予防
それぞれについて解説します。
エリスリトール
エリスリトールはドーベルマンの細菌性毛包炎の予防に活用できる成分です。
エリスリトールを配合したスプレーを1日3回、地肌に吹き付けることで、皮膚のバリア機能を保ち、細菌の繁殖を抑える効果が期待されます。
エリスリトールについてはこちらもチェックしてみてください。
犬の皮膚の健康とエリスリトールの関係|エリスリトールの作用を解説
保湿
保湿は、淡色被毛脱毛症や甲状腺機能低下症で乾燥しやすくなった皮膚を、良い状態に保つために役立つケアです。
被毛が薄くなった部位の皮膚は乾燥しやすく、皮膚のバリア機能がさらに低下しやすくなります。
保湿スプレーなどでこまめに水分を補うことで、皮膚を清潔で健やかな状態に保ちやすくなります。
保湿についてはこちらもチェックしてみてください。
犬の保湿ケア|乾燥肌や皮膚病対策にグリセリンは効果的?
寄生虫予防
寄生虫予防はドーベルマンの皮膚を良い状態に保つうえで大切なケアです。
ニキビダニが毛包で増えすぎると、脱毛や細菌性毛包炎の原因になることがあります。
寄生虫の予防薬を定期的に投与することで、そうしたトラブルを予防できます。
ただし、使う薬の種類や投与の時期は犬によって異なるため、手持ちの薬を自己判断で脱毛に使わず、獣医師に相談しましょう。
まとめ
愛犬のドーベルマンに脱毛のサインが見られたら、淡色被毛脱毛症や甲状腺機能低下症などが原因になっている可能性があります。
気になる症状が続く場合は、早めに動物病院を受診し、原因に合った治療を受けることが大切です。
日常では保湿などのケアを取り入れることで、皮膚を良い状態に保ちやすくなります。
とくに淡色被毛脱毛症のように根本的な治療法がない皮膚病では、日々のケアの積み重ねが皮膚を良い状態に保つことにつながります。
今回の記事が、愛犬のドーベルマンの脱毛でお悩みの飼い主様のお役に立てれば幸いです。
どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科主任皮膚科医
伊從 慶太
アジア獣医皮膚科専門医・獣医師・獣医学博士(獣医皮膚病学)
麻布大学を卒業後、岐阜大学連合獣医学研究科にて博士課程を修了。
東京農工大学、ドイツミュンヘン大学およびスウェーデン農業科学大学において小動物および大動物の皮膚科研修を経て、2015年にアジア獣医皮膚科専門医を取得。
現在は、どうぶつの皮膚科・耳科・アレルギー科で診察を行う傍ら、全国の獣医師に対する教育活動や学会活動、細菌性皮膚疾患、スキンケア分野を中心とした研究活動を行う。

